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2018年7月8日 更新

自身の全てを使い“生きること”を謳歌する“Do As Infinity LIVE TOUR 2018 -ALIVE-”@東京国際フォーラムホールCライブレポート

Do As Infinityの新たな可能性を提示してみせた12thアルバム『ALIVE』発表から3ヶ月。本作を携えて全国5会場で開催されたライブツアー“Do As Infinity LIVE TOUR 2018 -ALIVE-”から、サウンド・プロデューサー澤野弘之をゲストに迎えて行われた5月20日(日)の東京国際フォーラムホールC公演の模様をお届けします。

TEXT:藤井美保 PHOTO:釘野孝宏
この2月、澤野弘之をサウンド・プロデュースに迎えた意欲作『ALIVE』をリリースし、19年目だからこそのディープな新境地を切り開いたDo As Infinity。名古屋ダイアモンドホールを皮切りに始まったアルバムを携えたツアーも、各地でソールドアウトが続いていた。ここでは5月20日(日)に行われた東京国際フォーラムホールCの模様をレポートする。
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客電が落ちると同時に大渡とサポート・メンバーが登場。嬌声のまじる大きな拍手が湧いた。おもむろに始まったのは、大渡とメンバーがその場の閃きで奏でているであろう前衛的ノイズ・ミュージック。スペイシーなギター・ディレイが、どこか知らない場所に連れていってくれるよう。いつしかそれは『ALIVE』の1曲目「〜prologue〜」へと変容。その静謐な世界が大渡の合図でカットアウトとなると同時に、天井からいくつもの紗幕の帯が降りてきて、あの情熱的な「Alive」のイントロが始まった。観客の待ち焦がれた気持ちが、堰を切ったように手拍子になった。暗がりの中に現れたのは、黒いドレス姿の伴。「ウォーッ!」という歓声が湧く。洪水のような音と歌声と興奮に身をまかせるように、観客は手を前へ前へと差し伸べ始めた。

アルバムと同じ曲順で「GET OVER IT」が続く。メタルと言っていいものすごい音圧の上を、憂いを帯びた伴の声が滑らかにすべっていく。めちゃくちゃ気持ちいい。放り投げるような息づかいに思わずゾクッとした。大渡の鬼気迫るフラッシーなソロも、ギッと耳に爪痕を残していく。アラビアンなメロディが妙に魅惑的な「Perfect World」まで、クールでダークな世界がノンストップで繰り広げられた。
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「東京! 来てくれてありがとう! 私の全部を使って歌うので、みんなも五感をフルに使って、非日常の時間を楽しんでいってください」と言って続いたのは、「To Know You」だった。暗闇を照らすライトカーテンがキラキラとした世界を見せてくれる。アルバムでは優しいエレクトロな風合いだが、ここでは伴がアコギを抱え、ライブならではのビートの重さが加わったヒューマンな味わいだ。大渡が歌う深い響きのコーラスが印象的な「深い森」、伴がフラフラと夢遊するようにリズムをとる「Iron Hornet」と、ミディアム系にシフトしつつもダークな世界はさらに続いていった。ふと、ここまでステージも客席もずっと暗がりの中にあったことに気づく。暗闇が音に向かう集中力を高めてくれていたのだろう。その緊張をパンとハジいたのが、「アリアドネの糸」。ここで初めて客席が照らされ、極彩色のライトに煽られた観客は思いっきり拳を振りかざした。
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ギュッと圧縮したような前半を終えてホッとしたのか、伴と大渡はここで一気に解き放たれた表情に。この日は中国の音楽配信サイトの生配信が入っているということで、ふたりともそのカメラに向かってちょっとおどけつつ自分の名前を中国読みで言って挨拶。「バンドで回るツアーは久しぶり。みんなに会えてうれしいよ」と大渡は笑顔を見せた。伴は、「生きていくってなんて大変なんだろうと考えることがあってね」と近況を語り、「いろいろあるけど初めましての気持ちを大事にしていきたい」と、その昔初めてドラマ主題歌となった「陽のあたる坂道」につなげた。続く「Silver Moon」のオリエンタルな美しさは、伴の歌声とパーフェクトな相性。地声とファルセットをいきかう歌唱に聴き惚れた。対照的にハッピーな渋谷系といった「Lovely Day」では、伴が打つタンバリンに合わせてウキウキとした手拍子が湧く。結婚式ソングとして知られる「魔法の言葉〜Would you marry me?〜」と同じ位置にあると言っていいDo As Infinityのおしゃれ曲だ。前半との振れ幅がハンパない。でも、これが今の彼らなんだ、と、うれしく思った。
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ここでスペシャル・ゲストの澤野弘之が登場。「この方がいなかったらできていません」と、伴も大渡も襟を正して『ALIVE』のサウンド・プロデューサーを紹介した。実はこの1週間前に行われた“澤野弘之 LIVE [nZk]005”にDo As Infinityがゲスト出演していて、この日は澤野がそのお返しをするという意味もあった。グランドピアノをセッティングする間、『ALIVE』の制作秘話も。「最初は印象ワルかったと思う。なんせ私、新しいことにはビビリーなポンコツなんで」と伴。「世代を越えて音楽的共通言語があるっていうのは刺激的だったし、ワクワクした」と大渡。ふたりの話を聞きながら終始恐縮した表情を浮かべる澤野。3人の醸し出す和やかな空気に会場はほっこりとなった。「火の鳥」、そして、ピアノとアコギとアップライトベースで奏でられた「唯一の真実」。その音の中に、『ALIVE』を紡いできた3人の有機的な心のキャッチボールが見えるようだった。
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澤野を送り出したあとは、「科学の夜」、「Gates of heaven」と、ギミックもあるスケールの大きな曲で、後半への助走をしかけた。ラストスパートに行く前には再び長めのMCも。「ツアー中にみんなで行く食事での会話が年々ディープになっていく」と大渡が言ったのをきっかけに、「今回も心が折れた瞬間があってね、おっちゃんたちに支えられてます(笑)」と、胸の内を吐露する伴。すると大渡は「クソ真面目なところがあるよね、伴ちゃんは。もっと<BE FREE>でいかなきゃ。あの歌詞は俺が書いたんだけどさ」と、お悩み相談的なトークを開始。それがいつしかどんどんギャグ方向に脱線していく。天然でチグハグな伴の合いの手でさらに可笑しみが増して、まるで夫婦漫才のようになった。最後は伴が大渡に向かって、「そろそろギター弾こっか(笑)」と言って終わり、会場中が爆笑の渦に。前半のカッコよさとは真逆のこのふたりの人間味に、観客の心も完全に解き放たれたようだった。
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当然のごとく、「under the sun」からのラストスパートは、ものすごい一体感。会場が揺れるように感じた「化身の獣」、タオル回しの花が咲いた「JIDAISHIN」、「ウン、タタッタ!」という手拍子がシャープに響く「本日ハ晴天ナリ」とアッパーな曲が続く。「貴方の代わりなんていないんだ」という歌詞を、みんなを指し、その目を見ながら歌う伴。ソロを弾く大渡の肩に手をかけて超ハイテンションだ。その笑顔のあまりの輝きに、「心が折れたと言ってたあなたはどこにいますか?」と心の中で突っ込んでしまったほど。「遠くまで」では、伴の「せいの」で大合唱が起こり、そうくるとわかってても泣きそうになった。一緒に力いっぱい歌う大渡の姿にも、なんだか妙に心を打たれた。誰もがひとりだ。それはみな同じ。だけどどこかでつながってる。だから前に進んでいこう。そんな「We」感をリアルにメッセージできるのは、自分の人生とも地に足のついた格闘をし続けているDo As Infinityだからなんじゃないか、と、つくづく思う。
アンコールは、2010年のツアー時に、ふたり膝を突き合わせて共作したという「ワンダフルライフ」。温かいアコースティック感のあるこの曲は、伴と大渡の本来のキャラクターにいちばん近いんではないだろうか。「またどこかで会いましょう」とラストはカラフルなライトが彩る中「For the future」。ソロを弾きながら感動した面持ちで「ありがとう」と叫ぶ大渡。有言実行で自分の全部を使って無心に歌う伴。そんなふたりを見ていたら、なぜか胸がいっぱいになった。Do As Infinityがずっと変わらず“ALIVE”している理由がそこにある気がした。
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