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2017年6月6日 更新

urata naoya (AAA)ロングインタビュー【後編】自分の中だけにある“真実”。本当に作りたかったもの。

2017年4月26日(水)にリリースされるurata naoya (AAA)のオリジナル・アルバム『unlock』。音楽への愛、作り手への敬意をしのばせた静かな筆致で数々のトップ・アーティストを紹介してきた音楽ライター・藤井美保のインタビューで、本作に込められた浦田直也の想いに迫ります。

text by 藤井美保

この詞のように思うことが、人間一回はあると思う。

---では、私がハッとした「虚像」にいきましょう。無機質なピアノ・サウンドとズバッとくる言葉が印象的で、ちょっとシニカルな焦燥感を感じました。
浦田 デモを聴いたとき、瞬時に書きたいことが浮かびました。最初はAメロ、Bメロ、サビ、Dメロといった構成の曲だったんですけど、言いたいことと重なったときに、BメロもDメロもいらないなと思った。すぐその場で「Aメロ2回のあとすぐサビにいって、2番はAメロ、サビ、3番もAメロ、サビ、最後にもう一度Aメロに戻って、途中で終わりたい」と言って、試しにデータを切り貼りしてもらい、最終的に作曲の大西さんに整えていただきました。
---そうだったんですか!
浦田 大西さん、最初は「難しいこと言ってくる人だな」と思ったそうです(笑)。でも、「出来上がり、メチャいいです」と言ってくださいました。とにかく、この曲には物語感はいらないと思ったんです。極端にいえば、意味のない言葉をストレス発散のために叫ぶだけの歌詞でいいと。たぶん、この詞のように思うことが、人間一回はあると思うんです。若い人たちが聴けば、「スゴイこと言ってるな」と思うかもしれないけど、「いや、あなたも大人になっていけば、絶対こういう経験するから」と言いたいですね(笑)。
---この曲があるからこそ、「隣」、「愛」と至ったときに、「ああ、よかった」ってなんか思えるんです。
浦田 「隣」もラブソングではあるんですけど、主人公は自分で、「ちょっと失敗だったな」と思うくらい、これまでの恋愛表現を間違えてきちゃった人。爽やかな曲に聞こえますが、実はけっこう限界まできてる恋愛を描いてます。「愛」はもうこの曲調からしてトリックを使っても意味がないなと思いました。というより、「裏がありそう」などと探られちゃいけない曲だなと。だから何も飾らずに、「好き。一緒にいてくれてありがとう。これからもよろしく」を伝える歌詞にしたんです。
---すごく素直に聴けました。個人的には、サビのベースの音にヤラれました。
浦田 ね! 今回はリズム録りのときも、思ったことをストレートに言わせてもらいました。楽器もできないし、楽譜も読めないし、音楽用語もわからないから、「ここはもっとベースの音デカくしてくれますか」とか、「ドラムもっとガチャガチャ叩いてもらってもいいですか」とか、そんな子供みたいな言い方しかできないんですけど(笑)。
---音にも浦田さんの意思が反映されてるんですね。
浦田 「ワッ、ドキッとする!」っていう音に対する僕の感覚が、実際CDを手にとってくれた人たちにとってもツボになってくれたらいいなと思ったんです。こうプレイしてもらいたいというのがあるのに、「音楽用語がわかんなくて恥ずかしいから言うのやめた」ではダメだなと。
---そこで言わなかったら『unlock』じゃないですもんね。
浦田 そう! スタジオでの様子は、「unlock Making Documentary」に入ってるので、ぜひ観てほしいです。「タタタタタをドンに変えてもらっていいですか」とか「そこカッカッカにしてください」とか「そのほうが心臓をツンとやられる感じです」とか、いろいろ言ってます(笑)。

urata naoya (AAA) / 「unlock Making Documentary」Digest

---浦田さんのなかにライブのイメージもあったわけだし。
浦田 そうなんです。「ライブで歌うときに、たぶん手をこうやって振り下ろすだろうから、ここはシンバルを叩いてほしい」とか、「この歌詞は柔らかく歌いたいから、音も柔らかくしてほしい」とか、思ってることは全部ちゃんと口にしました。
---バンドさんたちも楽しかったんじゃないかな。
浦田 大御所の方たちなんですけど、「まるでオーディションみたいだね。久しぶりだよ、この感覚」と楽しんでくれましたね。
---歌入れはどうでしたか?
浦田 「虚像」と「真実」はほぼ一発録りです。最初は、ツルッと録ったあとにブロックごとに直しをしてたんですけど、それを並べて聴くとなんかパワーがなくなるんですよ。そう感じたときに、今回のアルバムはべつに声がきれいじゃなくてもいいと思いました。歌いこんでいけば疲れも出るけど、その疲れが見えてもいいのかもと思ったんです。そこから、「止めずに一発でやってみよう」と。そうすると気合が入って、やっぱり違うんです。
---絶対そうだと思います。
浦田 実は、バンドさんのリズム録りのときも、聴いてたら歌ってみたくなって、歌わせてもらったりもしました。
---仮歌のあるリズム録りは、最近なかなかないんじゃないかな。
浦田 そうみたいです。バンドさんたちは「仮歌してくれるんだ」と驚いてたんですけど、僕は「してくれるとかしてくれないじゃなくて、ただやりたいんです!」と(笑)。なんか気合が声量になったみたいで、「声出てたね。ヘッドフォンごしに生声が聴こえてたよ」って言われました。
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