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2017年12月18日 更新

遠藤舞 First&Last アルバム『最終回』インタビュー【前編】うまく歌おうとか、微妙な味わいを出そうとか考えない“まんまの声”で音楽と向き合えた

2017年12月13日(水)にリリースされた、シンガー遠藤舞の最初にして最後のアルバム『最終回』。彼女の音楽への真摯な想いが丁寧に重ねられた本作を、音楽ライター藤井美保がじっくり紐解きます。音楽のルーツ、各楽曲への愛、歌うということについて…前後編でお楽しみください。巻末の読者プレゼントもお見逃しなく。

遠藤舞のFirst & Final ALBUM『最終回』。前知識なく音を聴き、素直に好き! と思った。歌声にも、サウンドにも、トータルとしての構成にも、彼女の音楽への愛と人そのものを感じることができたからだ。えっ、本当にやめちゃうの? 会ってみたくて初対面の取材に臨んだが、最初で最後のアルバム。さすがに戸惑った。でも、彼女は実にスッキリした表情。恬淡と音楽との向き合い方を語る過不足のない言葉が心地よかった。意志あるところに道は開ける。未来に幸あれと願いながらの貴重な取材となった。

TEXT:藤井美保 PHOTO:藤里一郎
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音楽が特別なものと思わないくらい、常にそばにあった

---遠藤さんの歌声やピアノ演奏から、音楽へのリスペクトがすごく伝わってきました。なので、まず音楽的バックグラウンドからうかがわせてください。お父さまがピアノ講師をなさっていたとか。

遠藤 はい。小さい頃はそうでした。その後ろ姿を眺めて育ってきたところはあります。
---習ったりはしなかったんですか?

遠藤 幼少期、教えてもらった時期もあったんですけど、やはり自分の娘だと、一般の生徒に対するのとは違った感情が出てきてスパルタになっちゃうらしく、父が「ダメだ。教えられない」となってしまったみたいです。ただ、間接的には教えてもらってたんですよ。

---というと?

遠藤 家に録音機能つきの電子ピアノがあって、そこに父が録音しといてくれてた曲を耳コピするみたいなことをやってて。それで耳が鍛えられたところはありました。
---独特なメソッドですね。そのやりとりは何歳くらいまで?

遠藤 お稽古みたいなシステムになってたら追い詰められたりもしたと思うんですけど、ノルマもなく遊びの一環としてやれてたので、そう質問されると困るほど何歳から何歳までという感覚がないんです。ただ、譜面を読むことはあまりやってこなかったので、中学校で合唱曲の伴奏をするってなったときは、必死に読んで弾く練習しました。

---自然と音楽が好きになる環境だったんですね。

遠藤 特別なものと思わないくらい常にそばにあるものでした。後々その環境にはすごく感謝しましたね。

---家でよく流れていたのは?

遠藤 ショパンやリストのピアノ曲か尾崎豊さんかの二択(笑)。どちらも父の好きなものです。もちろん、学校の友だちと同じように、その時々の流行りの曲なども聴いてましたが、ルーツを辿ればクラシックと尾崎さんなのかもしれません。
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自分では思いつかない縦横無尽のアプローチができたシングル曲

---ありがとうございます。少し紐解けた気がします。では、『最終回』について、まずシングルを辿っていきましょう。1stシングル「Today is The Day」がリリースされたのが2013年。手がけたのはBase Ball Bearの小出祐介さんでした。それを皮切りに、4枚のシングルの楽曲は、赤い公園の津野米咲さん、OKAMOTO'Sのオカモトショウさん、GREAT3の片寄明人さんと、一筋縄ではいかない人たちばかりです。

遠藤 私に合うんじゃないかということで、プロデューサーさんが素敵な方たちを引き合わせてくれました。実は1stのときは別候補もあったんですが、何も知らずに小出さんの曲を聴いたとき、「すごくいい」と私自身が思ったんですね。これは後から知ったことなんですが、小出さんは何かの番組で私の人となりを知り、そのイメージで書いてくださったようで。無理のない、偽りのない、私のための楽曲という気がして、すごくうれしかったです。

遠藤舞 / Today is The Day(short ver.)

---いいスタートが切れたわけですね。

遠藤 津野さんの「MUJINA」、オカモトさんの「Baby Love」は、ちょっと毛色が違うというか、いい意味で私には無理のある曲かもしれないんですけど、自分の好みや色だけを反映させてしまうと、どうしても似たり寄ったりになってしまう。だから、自分では思いつかないこういったアプローチがあって正解だったんだなと、最終的にアルバムの並びを俯瞰で見たときに思いました。逆に、片寄さんの「溜息と不安な夜に」は、完全に私の好みを反映した曲なんです。
---そうなんですか!

遠藤 「どういう曲が好きか」から始まって打ち合わせも重ねましたし、私が書いていた歌詞ノートを片寄さんにお渡しして、好きなようにワードをつなげていただいたりもしました。その当時のいちばん無理のない自分が出てますね。

遠藤舞 / 溜息と不安の夜に (short ver.)

---ちょっと湿り気もあるさりげない感じは、遠藤さんの声が持つ基本的な世界と感じました。シングルのカップリングではハッとするカバーもしていて、『最終回』にも収録されてますね。まずSyrup 16gの「Reborn」。名曲だなと。

遠藤 出会ったのは高校生くらいのとき。大好きだったんですよ。それまで私、音楽を聴くときにそこまで歌詞に注目してなかったんですけど、これはもう歌詞にめちゃくちゃ惹かれました。ヘンにきれいごとを言ってないし、でも、希望がある、というそのバランスが絶妙なんです。Bank Bandもカバーしてますけど(『沿志奏逢3』に収録)、「スゴい曲だ!」と思ってたので、「私も歌いたい!」と申告しました。

---「時間は流れて 僕らは歳をとり 汚れて傷ついて 生まれ替わっていくのさ」という歌詞が、『最終回』を出す遠藤さんのメッセージとして何かすごく伝わってくる気がしました。

遠藤 録ったのはだいぶ前ですし、今の状況などまったく想定してなかったので、本当に奇しくも、ではあるんですがが、あのとき「歌いたい」と言い出してよかったと思いました。
---エンディングにかけてのパッションも素晴らしい。

遠藤 原曲に対するリスペクトがあるので、忠実なカバーではあるんですが、あそこはやっぱり気持ちがグーッと入りました。ヘタにいじって別モノにしなかったことも結果的によかったなと。
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