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2017年11月14日 更新

Skoop On Somebody、6年ぶりのオリジナル・アルバム『State Of Soul』を語る【前編】好き嫌いは分かれるけど、嗜好品としては最上級…大人のためのフューチャー・ソウルを

スムーズで、クールで、セクシーで、音に身を委ねていると、いい女、いい男になった気分に。そんな素敵な勘違いをさせてくれるSkoop On Somebodyの『State Of Soul』。今年20周年を迎えた彼らの新作にして6年ぶりのオリジナル・アルバムだ。スキルにもハートにも大人の魅力いっぱい。なのに、「今まででいちばんやんちゃな作品」という。「CDが売れない時代というけど、これから絶対さらにいいものが生まれてくるはず」とも。大人が夢見るフューチャー・ソウル。それは若い世代の憧れの世界でもあるはず。アルバムに込めた思いを、じっくりと訊きました。

TEXT:藤井美保

Skoop On Somebody 『sha la la』20years Anniversary Ver. @Skoop_jp

最近大人が楽しめる音楽がないよね。そういう世界ってヤバくない?

---20周年を迎えた年の新作。オリジナル・アルバムとしては6年ぶりですね。その間の時代の変化、ご自身の変化を含め、どんな思いで取り組まれたかをうかがわせてください。

TAKE たぶんこの記事は、若い方が多くご覧になると思うんです。ただ、誠に申し訳ないんですけど、今回のアルバムは大人にだけ向けて作りました(笑)。

---言い切れる潔さもまさに大人。そういうアルバムを作ろうと思われたのはどうしてですか?

TAKE その昔、ベイビーフェイスやディアンジェロなど、挙げたらきりがないほどのソウル/R&B系の曲を一緒に楽しんでいた同級生と久しぶりに会ったときに、「最近大人が楽しめる音楽がないよね。そういう世界ってヤバくない?」という話になったんです。実は僕もずっと同じような思いを抱いてて、だったらSkoop On Somebodyがそれをやればいいんだとふと素直に思えた。6年も待たせたファンの人たちもきっと同じような思いでいたんだろうなと。なおかつ思ったのは、大人が大人のために作った世界って、若い方たちがのぞきたくなるんじゃないかなということでした。

---憧れる人は多いと思います。

TAKE 僕自身がそうだったんですよ。学校の友だちのなかで、自分だけがドキドキ、ワクワクしながらソウル/R&Bを聴いてるということに、ある種の優越感をおぼえてた。そういう夢中さって大事だと思うんです。だから今回は、広くいろんな人に届く手法をとるのではなく、逆に狭めてみようと思いました。自分たちにしかできない世界をつきつめることが、本当のアーティストじゃないかという思いもあって。そこからおぼろげなアルバムのイメージが出来ていきましたね。去年の秋くらいかな。たとえば、テンポはすべてBPM=100以下で、男女のちょっとセクシーなストーリーが曲順で展開していくといった。

PHOTO:川田洋司
via
---フォーカスが定まったのはいつくらいでしたか?

TAKE 今年の3月、4月くらいですね。

---ちょうど、『20th anniversary LIVE Vol.2「Coming 2 you」』と題した二人だけのツアーに出てる頃ですよね?

KO-ICHIRO あのツアーは、去年スタッフが「20周年で何かやりたいことはないですか?」と聞いてくれたときに、僕が真っ先に希望したことでした。
---車一台だけで行くいわゆるロードだったとか。

KO-ICHIRO アーティストの方たちの多くは、デビュー前やデビュー直後にそういったツアーを経験してると思うんですけど、僕らは幸いと言っていいのか、経験をすることがなかった。もちろんアマチュア時代はあるんですけどね。なので、「20周年の節目にわがままが言えるなら、まだ行ったことのない街に自分たちから出向むくライブをやりたい」と申し出たわけです。

---そのツアーが、何かいいヒントに?

KO-ICHIRO そうですね。というのも、キャパ50人くらいのタイトな空間でやることも多くて、つまり集まってくれるのは、行った先々のコアなファンだったわけです。その人たちが僕らに何を求め、どんな瞬間に楽しいのかが、手に取るようにわかりました。

---その求めているものというのは、つまり?

KO-ICHIRO 言葉で言うと“Slow Jam”というような、いわゆるSkoop On Somebodyのいちばん濃い部分。そういうものを欲してくれてるという確信が持てたので、よりハッキリとしたビジョンで曲作りに取り組めたし、加速度的に曲が出来ていったんです。

KO-ICHIRO(Key&Cho)

PHOTO:川田洋司
via
---「Coming 2 You」ツアーが起爆剤となったんですね。6月、7月に行われた『20th anniversary LIVE Vol.3「Every Kiss, Every Lies」』でも、「移動中にもどんどん曲を作ってる」というMCをしていました。

KO-ICHIRO カタチに絞り込みやすくなったところで浮かんでくるものも増えたし、それこそ今なら鼻歌も記録できるじゃないですか。作りたいというパッションがあれば、旅先であろうとそれをカタチにしていくのが本来ミュージシャンのあるべき姿。それが、20周年目にしていちばんよくできましたね(笑)。

---シングルになった「Every Kiss, Every Lies」と「Killin' Me」は久保田利伸さんが手がけてますが、それ以外の13曲はお二人での曲。しかも、どの曲も濃くて、閃きが冴え渡っていると思いました。一昨年、昨年と、『SOUND OF SUNRISE』、『SING+DANCE』といったSkoop On Somebodyの「昼間の顔」といった作品を出したことも、いいプロセスになったんでしょうか?

TAKE 20周年のタイミングで、原点回帰のようなアルバムを作りたくなるだろうという予感は、だいぶ前からなんとなくあったので、その前に、まだやってないことをやり尽くしておこうという気持ちはありました。で、やるならとことん「昼間の顔」に振り切ろうと。それをやってみて自分たちにどういう変化が訪れるかが楽しみだったんですけど、結果、予感通り、原点回帰のこういうディープなアルバムにたどり着きました。タイミングを計ってたわけじゃなくて、奇しくもそういう巡り合わせだったんでしょうね。

好き嫌いは分かれるけど、嗜好品としては最上級のものに

---さて、今回プロデュースを、アメリカでスマッシュヒット中のPoppyをはじめ、ちゃんみな、Ms.OOJAなどを手がけるRyosuke ”Dr.R” Sakaiさんに委ねていますよね。どういった部分を求めてのチョイスでしたか?

TAKE sakaiくんとの出会いはシングル「Every Kiss, Every Lies」でした。彼のスタジオが、なんというか非常にクリエイティブな空間で、まず気持ちよかったんです。さらに、実際一緒に音を鳴らしてみたときの仕事っぷりですよね。何を大事にして取捨選択をしていくかのその感覚にすごく共感できたんです。彼は音楽を譜面やコードやノートだけではなく、音が人に及ぼす作用、そこで起きる感情で見ることのできる人。そんなプロデューサーこそSkoop On Somebodyに必要だなと思いました。もちろん、海外の最先端の音楽シーンを肌で感じている人という部分も大きかったです。

TAKE(Vo)

PHOTO:川田洋司
via
---サカイさんに投げる前に、まず、お二人で楽曲のデモをかなりしっかりと作られたんでしょうか?
TAKE そうですね。フォーカスが定まっていった3月、4月あたりから、僕とKO-ICHIROだけでスタジオに入って、お互いが持ち寄ったトラックを元に爆音でセッションし(笑)、曲の輪郭を固めていきました。

KO-ICHIRO 僕先行で作ったトラックに関しては、これまではメロディを用意して、それをTAKEに歌ってもらうというやり方をしてたんですが、今回はそれは聴かせず、爆音のなかTAKEが勝手に歌い出したものを録って、メロディとして整理していくという方法をとりました。「本当はこうだったんだけどな」というのがありつつも、それをはるかに越えて新しいものが生まれていくのが楽しかったんです。TAKE先行で作ったトラックには、今度は僕がその場で思いつくピアノのフレーズを入れていった。本当にセッション感覚での曲作りでした。コンセプトは「やっぱ好きやねん!」(笑)。
---ウハハ。まずご自分たちから滲み出てしまうものを?

KO-ICHIRO 吐き出すという作業をやりました。でも、「やっぱ好きやねん!」だけだと、ともすると懐古趣味に陥りがちなので、自分たちが培ってきて血や肉となっている頑固よごれの部分は大事にしつつも、装いは新たにしようと。その部分でsakaiくんの感性をお借りしたかったわけです。もちろん僕らも常日頃、新しい音楽を製品盤としては聴いていますけど、最先端の音楽シーンの空気を知っている人の現場を見る機会はなかなかない。だから、sakaiくんが、僕らの思いのつまったデモ音源をどう感じ、それに対しどういう提案してくるのか興味津々だったんです。

TAKE たとえばKO-ICHIRO先行で作った「Immorality」は、テンポも遅くて音数も少ない。でも、sakaiくんはそこからさらにハイハットを抜いてよりドープな感じにしてきたんですよ。
---フツーは埋めてしまいたくなるであろう音の隙間が、本当にスリリングですよね。

TAKE そうなんです。あと、僕はいわゆるトラックメイカーではないから、デモ・データのある音の長さがときにはグリッドからハミ出ているし、音色もインスピレーションで選んでるから、決め込んだものではなかったりするんですね。だから、そこはサカイくんが当然打ち込み直してくるだろうと思ってた。ところが、「えっ、ええの?」って思うくらいそのまま活かされてたりする(笑)。その感性って何やろうな? と思いました。

---意外な取捨選択だったわけですね。

TAKE 彼がこんなことを言ってたんですよ。「音楽は嗜好品ですから、右へ倣えで誰かと同じじゃつまらない。しかも、そのアーティストの色が濃く出れば出るほど、好き嫌いは分かれるけど、嗜好品としては最上級のものになる。今はそれで勝負する時代。みんなに好かれるんじゃなくて、みんなと同じがイヤという人がSkoop On Somebodyを聴いてくれればいいじゃないですか」と。
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