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2018年12月13日 更新

精神的な閉塞感から抜け出す唯一の鍵は“自分との対峙”だった。SKY-HI『JAPRISON』インタビュー

SKY-HIが、2018年12月12日に4枚目となるオリジナルアルバム『JAPRISON』をリリースする。“JAPanese Rap IS ON”(=日本のラップはイケてる)と“JAPAN”と“PRISON”(=刑務所、牢獄)という一見、相反する2つの意味を持つ本作に込めた想いを熱く語ってくれました。巻末の読者プレゼントも要チェックです★

TEXT:大前 至 PHOTO:小境勝巳

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--- まず最初に『JAPRISON』というアルバムタイトルについてですが、いつ頃決まったのでしょうか?

本格的にアルバムを作り始める前からで、今回は完全にタイトル先行です。その前に期間限定の無料配信で『FREE TOKYO』っていうミックステープ(ミニアルバム)を出したんですけど、『FREE TOKYO』は“東京に自由を”っていう意味でもあり、“タダ(無料)の東京の作品”っていうことにもかけていて。自分でも結構気に入っていて、いろいろなリアクションも貰ったので、次に出るアルバムは、その続編にしないまでも何かしら引きずるんだろうなとは思っていました。
--- そういう意味では、『FREE TOKYO』と『JAPRISON』は完全に繋がってる作品ですね。

そうですね。最近、海外の人と喋る機会が本当に増えて。例えば、『JAPRISON』のMusic Video盤に収録されている「Bitter Dream」っていう曲でギターを弾いてくれたピーターっていう中国人がいて。彼は中国本土にほぼ行ったことがないのに、中国のものを部屋に飾ったりして。そういうナショナリズムって、日本にいると忘れがちだけども大事なことだなって。あと、韓国のヒップホップレーベルって、今は自社ビルが当たり前なくらいに大成功してるけど、それこそ10年前とかは、韓国のヒップホップフェスに日本のラッパーが呼ばれて、ヘッドライナーでめちゃ盛り上がるみたいな状況だったのが、今は完全に追い抜かれている。物凄く悔しいんだけども、この5年でヤラレていることは、次の5年でもう一回抜けるじゃないかっていう。そういう前向きな気持ちで、『JAPRISON』っていうタイトルには“JAPanese Rap IS ON”(=日本のラップはイケてる)っていう意味を込めていて。

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--- それと同時に、『JAPRISON』には“JAPAN”と“PRISON”(=刑務所、牢獄)という、閉塞感を感じさせるような意味合いも込められていますね。

今、アメリカで有名な日本語は“寿司”と“過労死”で、次が“福島”みたいな。そういう今の時代を憂うようなテーマでアルバムを作るのなんて、2時間もらえれば簡単に出来そうだけども、それはやりたくなくて。今回のアルバムはどうしても前向きにしたかった。『FREE TOKYO』を引きずりつつ、もっとデカいものになって、なおかつ前向きな捉え方が出来るっていう、ややこしい水平思考をして。まだ一曲も出来ていない段階で、とりあえず『JAPRISON』っていうタイトルが出来て。あと、刑務所って脱獄出来るんですよね。だから、精神的な閉塞感も、どこかで解放される方法はあるんだろうなって。嫌だな、辛いな、息苦しいなって思っているものに対して、どうにかしてハッピーにしてやろうっていう思いです。
--- ちょっと不気味にも思える、自分の頭を抱えたジャケットのイメージはどこから来たものでしょうか?

タイトルのままで、檻の中に完全に捕まっているようなのにはしたくなくて。あくまでも精神的な閉塞感なのに、そういうイメージだと、完全に社会的な作品になっちゃう。今って配信がメインになって、スマホの画面とかでジャケットが見られる時間も逆に増えているから、強いインパクトがあるものにしたいって。生まれ変わりみたいのを綺麗に表現して、なおかつ怖くとかいろいろ考えたら、「首を持とうかな?」というアイディアが出て。それで首を切ってみて。結構痛くて、まだ傷跡が残っているんですけど。
--- (笑)生まれ変わりっていう意味で、生首を持つってなかなかインパクトありますね。

あと、見たままの通り、首をすげ替えるっていうイメージで。今回の収録曲の「Persona」で言ってることとも繋がっているけども、人にはいろんな顔があるから。

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--- 今回の『JAPRISON』は前作『OLIVE』や前々作の『カタルシス』とも雰囲気が結構違いますが、どのようなアルバムにしようと思いましたか?

一番大きく違うのは、『OLIVE』まではUS(アメリカ)の現行のヒップホップを、日本のものとして味付けをして出すっていう考え方をしていたと思うんですよ。言い換えれば、バランスを取るというか。けど、『FREE TOKYO』を出したことによって、そういういことを一切何も考えずに、自分の内側から全部出てきたものだけで衝動的に音楽作って。そうしたら、音楽的なアプローチも自然になって。今までのアルバムと比べても、打算的なものが一番無い作品になったと思います。
--- 今回のアルバムの方向性を決めた、キーとなる曲ってありますか?

順番で言うと、今年の9月に「Blue Monday」、「White Lily」が出来て。その次に今回、唯一、これまでの人の繋がりとは別の流れで、LAで活躍している日本人プロデューサーのstarRoにオファーした「Role Playing Soldier」を録って。それから、10月に「New Verse」を作って。それまでは自分に対する周りからの前提とか偏見みたいなものを感じながら、それを意識して制作しているのが普通だったんですけど、「New Verse」で自分と向き合うみたいなものが見えてきて。人から見られたくない部分って、誰でもありますよね? けど、精神的な閉塞感みたいなものから抜け出す唯一の鍵が、本当の意味で自分と対峙するっていうことだと気が付いて。
--- 「New Verse」以降に作った曲で言うと、韓国のプロデューサーのYosiが参加した「Doppelganger」とか、あと「Persona」、「Shed Luster」といった曲も一貫した流れがありますね。

Yosiは「I Think, I Sing, I Say feat. Reddy」(『FREE TOKYO』収録)に参加したReddyのレコーディングの時に一緒に付いて来たのがきっかけで。レコーディングが終わった後にビートをいくつか聴かせてくれて。その後、帰国してからも8曲くらいデータを送ってくれた中に、「これこれ!」みたいのがあって。「New Verse」が出来た後に、いろんなことをさらけ出すには、棘(とげ)の部分を強烈にアピールする瞬間が必要だなって思って。それで、「Doppelganger」の3バース目でめちゃめちゃ激しいのをやってみて。そこから、さらに足りないって思って「Persona」を作って。

SKY-HI / I Think, I Sing, I Say feat. Reddy (Prod by SKY-HI) -Music Video-

--- つまり、「Doppelganger」と「Persona」も繋がっているわけですね。

そうです。「Doppelganger」の棘の部分の延長が「Persona」で。次の「Shed Luster pt.2」でシュッとまとめて、それで「New Verse」までの流れが出来た。去年、シングルで出した「Marble」って、すごく気に入ってるラブソングなんですけど、言ってしまえば、自分の善人面(づら)でもあって。一人の人間として説得力みたいなのはアルバムで出さないといけないなって思っていたんですけど、「New Verse」で十分弱さを出せたから、最後に「Marble」を入れても大丈夫だなと思って。

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