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2018年4月19日 更新

葛藤から這い上がり、自問自答の上で行き着いた“光の方向へ向かう音”とは。戸渡陽太『光へのアーキテクチャ』インタビュー

シンガーソングライターの戸渡陽太が、2018年4月18日におよそ1年ぶりとなる新作ミニアルバム『光へのアーキテクチャ』をリリース。”自分自身と徹底的に向き合って制作した”という6曲入りの本作に込められた魂と、かき鳴らすような独特のギタースタイルとハスキーな歌声を組み合わせる音楽スタイルに至った道のりに迫ります。巻末の読者プレゼントもお見逃しなく。

text:井手朋子 photo:川田洋司
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--- mu-moステーション初登場ということで、まずこれまでの音楽歴について聞かせてください。戸渡さんは中学時代サガン鳥栖のユースに入るほどのサッカーの腕前だったと聞きました。それがなぜ音楽の道に?

戸渡 小学校の頃は、試合中に地面に絵を描いて“交代!”って言われたりするほどサッカーに対してはひどかったんですけど、面白さに気づいて打ち込んだらサガン鳥栖というチームに入れて。でも高校で挫折を味わって、音楽をやるようになりました。
--- サッカーをやっていた頃から音楽が好きだったんですか?

戸渡 割と好きでいろいろ聴いていました。当時はHYさんやBUMP OF CHICKENさんが流行っていたのでそういうJ-POPを聴いたり、友達と洋楽のアルバムを交換し合ったり。あまり可愛くない中学生の集まりだったかもしれませんね(笑)。

--- バンドをやろうということにはならなかったんですね。

戸渡 高校に入ってバンドを組もうという話もあったんですけど、結局バンドはやらず、人前で演奏するより曲を作りたいという方が先だったんですよね。だから作曲するためにギターを買って、曲作ってるんだったらライブをやれば?ってバイト先の人に言われて、そこから演奏するようになりました。
--- 曲作りは戸惑うことなくできました?

戸渡 最初はヒット曲のコードと歌詞が書いてある歌謡曲本を買ってきて、コード進行だけ借りて自分の歌詞とメロディを乗せていったんです。最初からカバーじゃなくて曲を作って、それと同時にコード進行も覚えていきました。

--- 当時から音楽を生業にしようと?

戸渡 天狗になっていたわけじゃないんですけど、1曲目を作った時に、何となく音楽とは長い付き合いになるんだろうな、これでご飯を食べていくのかなって直感で思いました。
--- 本格的に音楽を始めてからは、いろいろなジャンルの音楽を聴き漁ったそうですね。ジェフ・バックリィやニルヴァーナなどの90年代の洋楽から、ヌスラット・ファテ・アリ・ハーンのようなワールド・ミュージックまで、あらゆる音楽に興味を持ったとか。

戸渡 当時はボキャブラリーが少なかったので、自分でも開拓したいと思ってCDショップで試聴しまくって、選りすぐりの1枚を買っていましたね。あとはお世話になっていたライブハウスの先輩たちが、コアな音楽からメジャーどころまでいろいろな音楽を聴いていたので、そこで数え切れないぐらいの音楽を教えてもらいました。あとは、ライブで対バンするバンドからも影響を受けていたと思います。当時はアイスランドで流行っていたノイズ系の音楽をやるバンドがいたり、演奏しながら家電を30分間壊しまくるっていう変なバンドもいたんですけど、彼らに真っ当な音楽で勝つにはどうしたらいいんだろうということをかなり考えました。そういう経験も今の自分の血肉になっているのかなと思います。普通のバンドとも対バンしましたけど、4人対1人だとなかなか勝てないから、バンド・サウンドに1人で勝つためにリフっぽいフレーズを弾いて、パーカッシブな奏法を確立していったというのはあるかもしれません。
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--- 2014年に初の全国流通盤となるミニ・アルバム『プリズムの起点』をリリースした頃は、着物姿でギターを掻き鳴らすビジュアルからギター侍と呼ばれていましたが。

戸渡 あれは自分の意図していない部分も多少ありましたけど(笑)、インパクトを与えるという意味では良かったと思います。
--- 戸渡さんのブログに“2017年はいろいろなことが重なって上手く走れない年だった”とあって、去年はリリースもなく、どんな日々を過ごしていたんですか?

戸渡 なかなか風吹かないな〜、でも自分で風を起こしていかなきゃな〜っていう感じでしたね。挫折があり、それを自分なりに受け入れて消化してアウトプットしていく期間だったかなと。新作のリリースは何となく決まっていたんですけど、自問自答の日々が続いていて。例えば人としてどうなんだろうとか、これまで音楽を中心に生活してきたけど生活の中に音楽を置いた方が成り立つんじゃないかとか、そもそもなんでずっと曲を作っているんだろうとか、曲の作り方自体を考え直したり…。とにかくいろんなことに対して自問自答を繰り返していました。最初は音楽が楽しくて始めて、自分の中にある得体の知れないものを曲にして解釈していくという感じだったんですよね。だけど出し尽くしたとも違うんですけど、何となく自分の中で1つのサイクルが終わったというか。
--- それは前作『I wanna be 戸渡陽太』を作り終えたあとに思ったんですか?

戸渡 うーん。前作を作り終えたあとに思い始めたことですけど、前作で放出しきった感じもないというか。でも去年は、次の世界に進もうとする、這い上がっていくという意味合いがすごく強い年でした。
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--- そんな葛藤の中で生まれたのが、1年半振りとなる新作『光へのアーキテクチャ』ですが、コンセプトはありましたか?

戸渡 前作のフルアルバムからの差別化というのは考えました。前作は前作で良かったんですけど、なかなか自分の個性が見えにくい作品だったなという気もしていて。前作を否定するわけではないんですけど、いろいろな方が参加してくださって豪華な1枚が出来上がって、たくさんいろんな服を着せてもらったなという印象があって。それもいいんですけど、今回はソリッドに、自分の骨に近い部分を表現していくという感じが近かったかもしれないですね。プロデューサーの深沼元昭さんにビジョンがあって、僕もそれに近いものを感じていました。深沼さんとは今回の作品で4作目という事もあり関係も近いので、自分の特徴を分かってくださっていて。なので安心して任せられました。
--- サウンド的には初期の尖った感じが薄まり、少し丸くなったというか、ポップ寄りになったと感じました。

戸渡 そういうところもあるかもしれないですね。歳を重ねるにつれて変わるものもあると思いますし。サウンドとしては、ドライなものを録っていこうというのがありました。1曲目の「明星」以外は割と音数を少なくして、ドライな感じで録っていきました。歌詞に関しては、より光へ向かおうとしているというか。『光へのアーキテクチャ』というタイトルもそうですけど、未来に向かっている作風が多いかもしれないですね。曲自体は昔からずっとやっていたものもあれば、今回のために作ったものもあって、制作した時期はバラバラです。
--- 収録曲について1曲ずつ教えてください。リード曲「明星」は自問自答に似た疑問から生まれた曲だと。

戸渡 これは2017年の答えを象徴している曲というか、自問自答している自分を書いた曲です。自分の中でも珍しいんですけど、この曲はリフから作っていって、力づくで完成させた感じがあって。でも今後の未来のためのキーになる曲なんじゃないかなと思っています。自分の中で納得できずにたくさん書き直しをして、出来上がったのはバンド・サウンドですけど、1人でやってもバンドと対等にやれる曲を作れたんじゃないかなと。

戸渡陽太 "明星” (Official Music Video)

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