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2018年11月16日 更新

様々な角度から「LOVE」を描き続けてきた歌姫が魅せる10年間の集大成“LOVE it Tour ~10th Anniversary~”@横浜アリーナライブレポート

通算7枚目となるオリジナルアルバム『LOVE it』を携えておこなわれたライブツアー“LOVE it Tour ~10th Anniversary~”から、ファイナルとなった10月10(水)の横浜アリーナ公演の模様をお届けします。

TEXT:小川智宏
今年デビュー10周年を迎えた西野カナ。それを記念し、全国ホールツアーに続いて8月から開催されてきたアリーナツアー“LOVE it Tour ~10th Anniversary~”が、10月10日の横浜アリーナ公演でファイナルを迎えた。この日1万2000人のファンを前に西野が見せたのは、長い時間をかけて築き上げてきたファンとの信頼関係と、そんなファンとの真剣なコミュニケーションを通して培われてきた西野のパフォーマンスの底力だった。なぜ彼女の歌がずっと大きな共感と憧れを集めてきたのかがストレートに伝わってくるライブだった。
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MCで本人も語っていたが、10月10日、10周年と縁起のいいゾロ目となったこのツアーファイナル。横浜アリーナには老若男女幅広いお客さんが集まった。開演時刻を回り期待が最高潮に達したころ、ステージ上のスクリーンに街の雑踏を切り取った映像が映し出される。徐々に近づいてくる足音が止まると、ステージの中央にはスパンコールのドレスをまとった西野カナが登場。オーディエンスが手にしたフリフライト(グッズとして売られている、無線制御で色が変わるライト)がステージ照明と同調して光る壮大な風景の中で「Girls」からライブはスタートした。続く「We Don’t Stop」ではスケールの大きなダンスビートに合わせてダンサー陣も登場。「“LOVE it Tour”へようこそ! 盛り上がっていきましょう!」と西野が叫べば、アリーナじゅうから歓声が巻き起こった。スパンコールのドレスからカラフルなマドラスチェックのワンピースへの衣装チェンジを経て3曲目は軽やかな「パッ」。スクリーンにはポップなアニメーションが躍る。
3曲歌い終え、「改めまして、“LOVE it Tour ~10th Anniversary~”へようこそ! 今日はついにツアーファイナルです!」と客席に挨拶する西野。続けてファンからのメッセージを読み上げていく。香港から来たというお客さんからの「10周年の忘れられない思い出は?」、カップルで応援し続けているというお客さんからの「日常で欠かさずやっていることは?」といった質問に丁寧に答え、またメッセージのなかにあったリクエストに応えてアリーナ全体を巻き込んでの「10色ウェーブ」(客席のウェーブに合わせてフリフライトが色を変えていく)も成功させてみせる。

客席に手を振りながら歌った「Darling」、ピンクとオレンジのライトがアリーナ中で揺れた「あなたの好きなところ」に続いて、ここからはメドレーへ。紫色のドレスに身を包んで歌う「Liar」から、レオパード柄のワンピースにチェンジして「LIGHTS, CAMERA, ACTION」へ。
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ミュージカル調の展開を経て、一転猫の顔がプリントされたピンクのノースリーブワンピース姿での「MEOW」。猫の手の振り付けもキュートだ。最後にはストライプが映えるドレスへの早着替えを見せ「もしも運命の人がいるのなら」を歌い上げる。このメドレーだけで4つの衣装。曲ごとにくるくると表情を変えるその歌声とスタイルに目も耳も引き込まれていく。
「Happy 10th Anniversary」の文字がスクリーンに躍ったダンサーのパフォーマンスタイムの後は、真紅のドレスに着替えてステージに戻ってきた西野。最新アルバム『LOVE it』に収録された「手をつなぐ理由」から「涙色」へのバラードリレーで真摯な思いを切々と歌い上げ、膝を折って客席に一礼する彼女に大きな拍手が送られる。かと思えばここからはDJ MassによるMixタイム。巨大なアリーナが一瞬にしてダンスフロアに変貌する。結構大胆なミックスをされてもなお個性を失わない西野の歌声の「強さ」に驚く瞬間でもある。ダンサーも登場して、バラードで落ち着いた場内の空気を再び盛り上げていく――と、そうこうしているうちに再びステージに登場した西野。今度はピンクのライダースジャケットにフレアスカートといういでたちだ。ここからは再びのメドレータイム。畳み掛けるようにアッパーチューンが繰り出されていく。太いベースが腹に響くグルーヴィーな「doll」、そしてそこからさらにアクセルを踏み込んで「LOVE IS BLIND」へ。ダンサーとのコンビネーションもばっちりな西野は軽快にビートを乗りこなしていく。ヒップホップな「GIRLS GIRLS」、タブレットを持ち出して自撮りしながら歌った「スマホ」……幅広い楽曲を自在に歌いこなしながら、曲それぞれに描かれた情景や込められたメッセージを全身で表現する西野。メドレーのラストを飾ったEDM調のポップナンバー「LOVE & JOY」では客席とのコール&レスポンスも決めてみせる。
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「LOVE & JOY」の流れでそのままバンドメンバーのソロコーナーへ。多彩な楽曲を見事なライブサウンドに昇華してみせる手練れのミュージシャンたちにも、オーディエンスから温かい拍手が惜しみなく送られる。と、シースルーのワンピースをまとった西野がステージにカムバックし、「LOVE」を歌う。いうまでもなく恋愛のワンシーンを描き続けてきた西野だが、最新アルバムに収録されたこの曲で、堂々「LOVE」というタイトルを掲げてみせた。まるで魔法のように恋のスイッチが入る瞬間を切り取ったこの曲で描かれる風景は、まるで西野カナの歌そのものについて書かれたようにも思う。

というのも、ステージの上にいる西野は、その立場やキャリアとは裏腹にどこまでも「普通」と地続きの場所で歌っているように見えるからだ。序盤のMCで10周年の思い出を尋ねられた彼女は、「休みをもらって友達と海外旅行をしたこと」を挙げていた。1日2万歩も歩いたと、まるで友達とカフェでおしゃべりでもするように。そんな普段着感のままステージに立ち、でもひとたびマイクを握れば一躍注目を浴びるカリスマとなる。過剰ともいえる衣装チェンジや振れ幅の大きい曲調は、そうやってダイナミックに変わり続けることで「普通」から脱皮していく西野カナという表現者の生き様そのもののようにも思えるのだ。そしてそんなふうに彼女を輝かせるのは、こうして大きな会場でも親しげに声をかけサポートするファンたちの存在だ。
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ライブもそろそろ終盤戦。ここで挟まれたMCタイムで、改めて10周年の感謝を口にする西野は、「みんながいてくれやな意味がない」と言い切った。「みんなのあたたかさがあったから、ここまで歌ってこれた」という言葉と、2枚同時リリースとなるベストアルバム『Love Collection 2 〜pink〜』『Love Collection 2 〜mint〜』の発売告知を経て、彼女のキャリアにとって大きな意味をもった楽曲「トリセツ」を歌う。誰にでも伝わる言葉で、誰にでもある心の中身を歌い続ける西野カナというアーティストの本質論ともいえる楽曲だ。続けて「ここで新曲を歌おうと思います!」と「Bedtime Story」を披露。映画『3D彼女 リアルガール』の主題歌となっているこの曲は、童話調の物語に掛け値なしの純愛を重ねた歌詞が印象的だ。歌い終え「次で最後の曲です!」と宣言すると客席からは「えー!」の声。「えー!じゃなくて?」という西野の問いかけに「Yeah!」と最高のリアクションを返すオーディエンスに笑顔を見せながら、ラストに歌ったのは「アイラブユー」。天井からはハート型の紙吹雪がひらひらと舞い落ち、美しい本編フィナーレとなった。
本編が終わり、客席からは自発的に「Best Friend」の大合唱が起きる。その歌声に応えるようにステージに戻ってきた西野は、ツアーグッズのTシャツにチェックのパンツ姿。頭にはオレンジ色のニットキャップをかぶっている。そして「Have a nice day」アイスクリームがあしらわれたゴンドラ(ナンバープレートには今日の日付である「18-10-10」の文字!)に乗り込み、アリーナをゆっくり一周する。手にしたバズーカからボールを客席に向け発射し、「Believe」へ。集まってくれたファンひとりひとりと目を合わせながら、瞬間を噛みしめるように歌う西野。そしてラストはアリーナに集まった全員でタオルを振り回しながら「Happy Time」! まさにこの上なくハッピーな時間が横浜アリーナに訪れたのだった。
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リアルタイムで彼女の成長を追いかけてきた同世代のファンはもちろん、彼女よりずっと年上の世代にも、そしておそらくは最近彼女の存在を知ったのだろう子どもたちにも、西野カナの歌はまっすぐに刺さる。考えてみれば「恋愛」という人生の一面にフォーカスした楽曲を多く楽曲を多く歌い続けているにもかかわらず、そんな広さを手にしているというのは不思議だ。だがこうしてライブを見ているとその秘密がわかる気がする。歌う姿にも、MCにも、もちろんそのストレートな歌詞にも、西野カナの表現には誰しもがすっと入り込める隙間がある。ある人にとっては友達、ある人にとっては妹、ある人にとってはお姉さん。それぞれに違うありかたで、西野カナはファンひとりひとりの心の中にいる。だからこんなに大きな会場でも、こんなに親密な雰囲気が生まれていたのだ。2月には同じ横浜アリーナで3デイズのスペシャルライブも決定。そこでもまた、あなたのすぐそばにいる西野カナに会えるはずだ。
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