TEXT:森 朋之 PHOTO:小境勝巳
春をテーマにしたメジャー1stシングル「ウララ」に続くニューシングルは、“ひと夏の夢”をテーマにしたメロウ・チューン「夏の夢」、そして、アニメーション映画『詩季織々』主題歌「WALK」の両A面。生まれて初めて夏を意識して制作したというビッケブランカに今回のシングルについて聞いた。
――前作「ウララ」は春ソングで、今回の「夏の夢」は夏がテーマ。季節シリーズが続いてますね。
ビッケブランカ:四季をテーマにしたシングルにしようっていう明確な作戦があるわけではないんですけどね(笑)。たまたま春と夏にリリースすることになったから、そうしてみただけというか。「ウララ」でラジオオンエア1位を取らせてもらったから(全国ラジオ邦楽オンエアチャート(集計期間:2018年4月16日~2018年4月22日)で1位を獲得)、味をしめたところもあったかも(笑)。ただ、夏の曲を書くのはすごく難しかったです。もともと苦手な季節だし、まず、夏の思い出がぜんぜんないんですよ。夏に聴いて気持ちいいメロディもまったく浮かばなかったし、断念しようかなと思ったこともあったんだけど、“夏はわからないということを歌おう。それが自分にとっての真実なんだから”と思い到って。
ビッケブランカ:四季をテーマにしたシングルにしようっていう明確な作戦があるわけではないんですけどね(笑)。たまたま春と夏にリリースすることになったから、そうしてみただけというか。「ウララ」でラジオオンエア1位を取らせてもらったから(全国ラジオ邦楽オンエアチャート(集計期間:2018年4月16日~2018年4月22日)で1位を獲得)、味をしめたところもあったかも(笑)。ただ、夏の曲を書くのはすごく難しかったです。もともと苦手な季節だし、まず、夏の思い出がぜんぜんないんですよ。夏に聴いて気持ちいいメロディもまったく浮かばなかったし、断念しようかなと思ったこともあったんだけど、“夏はわからないということを歌おう。それが自分にとっての真実なんだから”と思い到って。
ビッケブランカ / 夏の夢(official music video)
via www.youtube.com
――それが冒頭の「夏なんて知らない」というフレーズになったと。
ビッケブランカ:まさにそうです(笑)。そのフレーズをもとにして、キャラ設定とストーリーを考えて。真ん中にいるのはたぶん自分なんですよ。まったく夏の経験はないんだけど、“こういうことがあったらグッとくるだろうな”というシチュエーションを思い浮かべながら書いたというか。みんなと一緒に海に行って、他の人は楽しそうにビーチボールとかやってるんだけど、自分はずっとパラソルのなかにいて。おそらく、ちょっと斜に構えてるところもあるんでしょうね。
ビッケブランカ:まさにそうです(笑)。そのフレーズをもとにして、キャラ設定とストーリーを考えて。真ん中にいるのはたぶん自分なんですよ。まったく夏の経験はないんだけど、“こういうことがあったらグッとくるだろうな”というシチュエーションを思い浮かべながら書いたというか。みんなと一緒に海に行って、他の人は楽しそうにビーチボールとかやってるんだけど、自分はずっとパラソルのなかにいて。おそらく、ちょっと斜に構えてるところもあるんでしょうね。
――ビッケブランカさんらしいですね(笑)。
ビッケブランカ:(笑)。砂浜に足を着けない、海にも入らないという気持ちの象徴が、ギュッと紐を結んだ“ハイカットスニーカー”なんです。でも、そのときにひとりの女の子が近づいてくるんですよね。その子はしっかり夏を楽しめるタイプなんだけど、たぶん主人公がちょっと気になってるんでしょう、パラソルに入ってくるんです。で、靴を見て「かわいいね」って言って、そこから会話が始まって……クーッツ!
ビッケブランカ:(笑)。砂浜に足を着けない、海にも入らないという気持ちの象徴が、ギュッと紐を結んだ“ハイカットスニーカー”なんです。でも、そのときにひとりの女の子が近づいてくるんですよね。その子はしっかり夏を楽しめるタイプなんだけど、たぶん主人公がちょっと気になってるんでしょう、パラソルに入ってくるんです。で、靴を見て「かわいいね」って言って、そこから会話が始まって……クーッツ!
――(笑)。
ビッケブランカ:そうやってひとりでほくそ笑みながら歌詞を書いてました(笑)。メロディも珍しく歌詞と同時に出て来たんです。それもやっぱり「夏なんて知らない」に引っ張られたのかな。自分にとっても新しい手触りのメロディになりましたね。サウンドに関しては、エレピ(エレクトリックピアノ=電子ピアノ)を使ってるんです、Fender Rhodesの。いままではピアノがメインで、エレピにはそれほど興味がなかったんだけど、弾いてみたらすごくいい音で。ギターに関しても新しいことをやってるんです。ライブでも弾いてくれてる井手上誠さんに「ギターで夏の雰囲気を出してください」とオーダーしたんですが、井手上さんも僕と同じで夏を楽しめないタイプだから(笑)、“夏にドンピシャ!”というフレーズではなくて、微妙なところを突いてきて。4回くらい自由に弾いてもらって、それを僕が編集したんですよ。夏のあがり方がわからない、「夏の夢」にピッタリのギターソロになりましたね。
ビッケブランカ:そうやってひとりでほくそ笑みながら歌詞を書いてました(笑)。メロディも珍しく歌詞と同時に出て来たんです。それもやっぱり「夏なんて知らない」に引っ張られたのかな。自分にとっても新しい手触りのメロディになりましたね。サウンドに関しては、エレピ(エレクトリックピアノ=電子ピアノ)を使ってるんです、Fender Rhodesの。いままではピアノがメインで、エレピにはそれほど興味がなかったんだけど、弾いてみたらすごくいい音で。ギターに関しても新しいことをやってるんです。ライブでも弾いてくれてる井手上誠さんに「ギターで夏の雰囲気を出してください」とオーダーしたんですが、井手上さんも僕と同じで夏を楽しめないタイプだから(笑)、“夏にドンピシャ!”というフレーズではなくて、微妙なところを突いてきて。4回くらい自由に弾いてもらって、それを僕が編集したんですよ。夏のあがり方がわからない、「夏の夢」にピッタリのギターソロになりましたね。
――そして「WALK」はアニメーション映画『詩季織々』の主題歌。
ビッケブランカ:完成前のアニメを観させてもらって、「この映画の最後に流れる曲はどういうものがいいだろう?」と意識して書きました。『君の名は。』の会社(コミックス・ウェーブ・フィルム)の映画で、中国が舞台なんですね。“居・住・食”をテーマにした3つの短編になっていて、すごくおもしろくて。映画を観ているときに感じたことをそのまま曲に落とし込んでいる感じですね。こっちの曲のイントロもエレピで弾いてるんですけど、“トッ、トッ、トッ”という感じの音で、時間の経過を表現していて。メロディもすぐに浮かんできたし、歌詞も映像から受けた印象をそのまま書いた感じだったんですけど、映画のスタッフのみなさんからも「素晴らしい」と言っていただけたんです。最後の歌詞が「さあ歩こう歩こう歩こう」なんですが、それが映画のコンセプトにすごく合ってたんですよ。中国には“衣食住行”という言葉があって、“行”は交通、つまり歩くという意味らしくて。この映画は“衣食住”を描いているから、曲のなかで「歩こう歩こう」と歌っていて、しかもタイトルが「WALK」というのは完璧だと。僕は“衣食住行”という言葉を知らなかったし、この曲を「WALK」にしたのも偶然なんだけど、上手くハマって良かったですね。
ビッケブランカ:完成前のアニメを観させてもらって、「この映画の最後に流れる曲はどういうものがいいだろう?」と意識して書きました。『君の名は。』の会社(コミックス・ウェーブ・フィルム)の映画で、中国が舞台なんですね。“居・住・食”をテーマにした3つの短編になっていて、すごくおもしろくて。映画を観ているときに感じたことをそのまま曲に落とし込んでいる感じですね。こっちの曲のイントロもエレピで弾いてるんですけど、“トッ、トッ、トッ”という感じの音で、時間の経過を表現していて。メロディもすぐに浮かんできたし、歌詞も映像から受けた印象をそのまま書いた感じだったんですけど、映画のスタッフのみなさんからも「素晴らしい」と言っていただけたんです。最後の歌詞が「さあ歩こう歩こう歩こう」なんですが、それが映画のコンセプトにすごく合ってたんですよ。中国には“衣食住行”という言葉があって、“行”は交通、つまり歩くという意味らしくて。この映画は“衣食住”を描いているから、曲のなかで「歩こう歩こう」と歌っていて、しかもタイトルが「WALK」というのは完璧だと。僕は“衣食住行”という言葉を知らなかったし、この曲を「WALK」にしたのも偶然なんだけど、上手くハマって良かったですね。
ビッケブランカ『WALK (movie ver.)』(Official Music Video) ※アニメーション映画『詩季織々』主題歌
via www.youtube.com
――衣食住と“行”がひとつになってるって、すごくいいですね。生きることは進むこと、歩くことだというイメージがあって。
ビッケブランカ:そうなんですよね。歩くのはいちばん遅い移動手段だし、疲れるけど、ゆっくり進んでいくことも大事だと思うので。エンドロールで映像と曲が重なっていくのもすごく良くて。イントロの終わりで音を全部切ってるんですけど、それは「映画は終わるけど、ここからまたストーリーが始まる」という感じを出したかったから。映画館にいる人たちに対して、どうしたらいちばんグッとくるか?ということもすごく考えました。
ビッケブランカ:そうなんですよね。歩くのはいちばん遅い移動手段だし、疲れるけど、ゆっくり進んでいくことも大事だと思うので。エンドロールで映像と曲が重なっていくのもすごく良くて。イントロの終わりで音を全部切ってるんですけど、それは「映画は終わるけど、ここからまたストーリーが始まる」という感じを出したかったから。映画館にいる人たちに対して、どうしたらいちばんグッとくるか?ということもすごく考えました。
――そしてカップリング曲の「Black Rover(feat.SKY-HI city raven remix)」にはSKY-HIさんが参加。アニメ『ブラッククローバー』オープニング曲ですが、ビッケブランカさんのリミックス、SKY-HIさんのリリックとラップによって、まったく新しい魅力が備わった楽曲になってますね。
ビッケブランカ:ありがとうございます。(SKY-HIのことを)“兄者(あにじゃ)”と呼んでるんですけど、自分で直接連絡をして参加してもらったんです。「『Black Rover』を自分でリミックスするんですけど、ラップやってもらえませんか?」「おう!」みたいな(笑)。兄者も『ブラッククローバ―』は好きだし、どういうリリックにするか?みたいは話をしてノリノリになってから、「あ、言い忘れてましたけど、締め切りは5日後です」って言って(笑)。ぜんぜん余裕で4日後くらいに音声データを送ってくれたんですけど、もちろん最高でしたね。前回は兄者のアルバム(『OLIVE』)に参加させてもらって、ツアーにも出させてもらって。次は自分の楽曲に参加してもらいたかったら、実現して良かったですよ。
ビッケブランカ:ありがとうございます。(SKY-HIのことを)“兄者(あにじゃ)”と呼んでるんですけど、自分で直接連絡をして参加してもらったんです。「『Black Rover』を自分でリミックスするんですけど、ラップやってもらえませんか?」「おう!」みたいな(笑)。兄者も『ブラッククローバ―』は好きだし、どういうリリックにするか?みたいは話をしてノリノリになってから、「あ、言い忘れてましたけど、締め切りは5日後です」って言って(笑)。ぜんぜん余裕で4日後くらいに音声データを送ってくれたんですけど、もちろん最高でしたね。前回は兄者のアルバム(『OLIVE』)に参加させてもらって、ツアーにも出させてもらって。次は自分の楽曲に参加してもらいたかったら、実現して良かったですよ。