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2018年4月18日 更新

和楽器バンド、独占取材。超絶ポップにジャンルを飛び越える最新アルバム『オトノエ』ができるまで【1/5】

唯一無二の存在感を放つ和楽器バンドが、5枚目となるアルバム『オトノエ』を2018年4月25日に発売。ベストアルバム発売後、初のアルバムとなる今作は“ミュージアム”というテーマ通り、聴覚だけでなく視覚的にも楽しめる作品となっている。世界へ向けてジャパニーズ・ポップ・カルチャーを伝えるうえで、欠かすことの出来ない存在へと成長を遂げる和楽器バンドから目が離せない!巻末の読者プレゼントも要チェックです★

text:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ) photo:八木虎造

和楽器バンド

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昨年リリースされたベストアルバム『軌跡 BEST COLLECTION+』が12万枚のセールスを突破した和楽器バンド。和楽器とロック&ポップを融合した唯一無二の存在感は、世界へ向けてジャパニーズ・ポップ・カルチャーの進化を伝える日本を代表する最重要バンドのひとつだ。

4月25日発売、通算5枚目となる最新アルバム『オトノエ』では“ミュージアム”をテーマにコンセプチュアルな作品を構築。より、アルバムを通しての作品性を追求した和楽器バンド第二章といえるターニングポイントとなる1枚になった。

アルバムに収録された、オーケストラも交えたリードチューン「細雪」の王道感。イントロの跳ねたビート展開が気持ち良い「雪影ぼうし」。優しいメロディがせつなくもポップな「君がいない街」。「沈まない太陽」での驚きなオルタナR&B展開。「パラダイムシフト」での北欧なプログレ風アレンジ。「紅蓮」でのメタルな疾走感など、圧倒的なヴォーカリゼーションとスキルフルな演奏に心を奪われた本作。まさに2018年の“今”を代表するアルバム作品に仕上がっている。現時点での和楽器バンドの最高傑作だと断言しよう。
――和楽器バンドって、音楽的にあらゆる要素を取り入れているにもかかわらず、ブレることなく、ひとつの方向に向かって突き進んでいる様がかっこいいと思っています。アルバムが完成されていかがですか?

鈴華ゆう子(Vo / 以下、ゆう子):今回、ベストアルバム後の最初のアルバム作品なんですよ。ここってすごい大事なポイントだと思っていて。ベストアルバム『軌跡 BEST COLLECTION +』を作っていたとき、すでにこのアルバムの制作を決めていたんです。コンセプチュアルなアルバムにしようと思っていました。テーマは“ミュージアム”なので、アートワークでも視覚的にもこだわった世界観を表現しています。

鈴華ゆう子(Vo)

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――コンセプトを先に決めての制作ははじめてですか?

ゆう子:はい、今までの和楽器バンドではやってこなかったので。それもあって、テーマに基づいた世界観をクリエイティブに見せられた1枚になりました。

――“ミュージアム”というテーマとは?

ゆう子:私はもともとピアノを通してクラシックをやっていました。なかでもドビュッシーやラヴェルなど、印象派時代が好きで。その時代って、音楽と絵画が影響しあっていた時代なんです。それもあって、色彩豊かにものづくりをしてみると面白いんじゃないかって決まったテーマなんです。

――なるほど。具体的にはどんな新しいチャレンジを?

ゆう子:挑戦として行ったのが、オーケストラとのコラボレーションでした。和楽器バンドに足りなかったポイントにコード感があって。このバンドではコードの楽器がギターしかいないんですね。その部分を補う役目をオーケストラで表現しました。

町屋(Gt)

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――より柔軟に、これまで以上に幅広く音楽制作に取り組まれた1枚なのですね。

ゆう子:今回、アルバムの司令塔を町屋さんって決めて。全体のディレクションとアレンジの中心をやってもらいました。その上で、メンバー同士言いたいことを言いあって創り上げることができたアルバムだと思いますね。

町屋(G):いままでは、ドラムとって和太鼓と重ねてベース重ねて……みたいな。あと、残された人がどれだけ隙間をぬって動くかみたいなことをやってきたんです。今回は最初からそれぞれの居場所を作ってあげたことで住み分けをすることができました。サウンド面に関しても、和太鼓が締める帯域、ベースが締める帯域。ドラム、三味線、尺八、琴、ギターなど。それぞれにちゃんと居場所を割り振ってあげることで、全力で鳴らしたときにもみんなの音が聞こえるっていう。そのバランス感覚を活かして、アンサンブルや音の作り方にこだわってレコーディングしましたね。

亜沙(B):前作『四季彩-shikisai-』は17曲入っていたんです。今回は12曲で普通サイズなんですけど、その分、1曲1曲に時間を割けたっていうのはありますね。『四季彩-shikisai-』のときはタイアップがついていた曲がいっぱいあったので、必然的に多くなったっていうのはあるんですけど。今回、非常に聴きやすい曲数にまとまっているし、その中でキャラクターも出ているし。バランスのとれたアルバムになったんじゃないかなと思います。新しいというか次の和楽器バンドって感じがしますよね。

亜沙(Ba)

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――ベストアルバム『軌跡 BEST COLLECTION+』リリース後ということで、和楽器バンド第二章みたいな感覚なんてありましたか?

亜沙:感覚としてはありました。かといって、いままでやってきた和楽器バンドも和楽器バンドだし。ベスト盤を出したばかりで、今までの曲をやらなくなるわけでは全然ないです。もちろん今までの雰囲気やバンドの空気感は残しつつ、でもキャリアとしては4枚目なので、そこそこですよね。そろそろ、これが俺たちなんだっていうのを打ち出す時期でもあると思うし。そんな意味で本作『オトノエ』が作れたのはよかったと思います。
――今までは主に漢字のアルバム・タイトルでしたが今回はカタカナですよね。どんな想いでこのタイトルに?

ゆう子:まず“ミュージアム”というテーマを先に決めていて、アルバムがいよいよできあがってきたぞってところでタイトルを決めました。いくつかみんなで出し合ってプレゼンし合ったんですけど。今回、アルバム・タイトル『オトノエ』とツアー・タイトル『和楽器バンドTOUR 2018 音ノ回廊-oto no kairou-』は私が出した案が通りました。『オトノエ』というアルバム・タイトルは、私がすごく好きな作曲家でラフマニノフっていう人がいるんですけど。音大生時代に弾いていて、「音の絵」という大好きだった曲があるんです。

――そこにもつながっていくのですね。

ゆう子:ロマン派後半から印象派時代、近現代が好きで。そのあたりの作曲家からの影響が大きくて。“音の絵”という言葉がすごく美しいなって思って。でも、漢字で“音の絵”って感じにしちゃうと断定的じゃないですか。もう少し余白というか「どういう意味だろう?」っていう余裕を持たせたくてカタカナにしました。

いぶくろ聖志(箏)

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――和楽器バンドって、詞曲できるメンバーが多いじゃないですか? 選曲や、曲順決めたりするのって大変じゃなかったですか?

町屋:シングルからの収録が決まっていたのが「雪影ぼうし」だけだったので、他の枠が全部空いている状態で制作できたのが良かったんですよ。

ゆう子:和楽器バンドでは珍しいんだよね。

町屋:いつもタイアップで表面が埋まっちゃうくらいだから。今回はそういった意味で、アルバム全体のバランスを考えながら曲を当てはめていくことができたんです。たとえば「君がいない街」は、エレキギターを一切使ってない曲で。ライトなアコースティックっぽい枠ですね。「World domination」なんかは女子的なイメージで。「独歩」なんかシンプルに、参加していないメンバーがいてもいいんじゃないかって思い切ってみたり。デビューから4年は、和楽器バンドたるや、これだっていうブランドを定着させなければいけない時代だったので、なかなか思い切ったことができなかったんです。ここにきてやっと、新しいアプローチも胸をはってできるようになりました。

ゆう子:トータルとしては、聴いて疲れないことにもこだわりました。ミュージアムなので、どこから回っても自由じゃないですか? どこからはじめても楽しめる音の世界。目をとじたときに浮かび上がる世界観のバランスにこだわりましたね。

神永大輔(尺八)

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――1曲目、ミュージックビデオも制作されたリードチューン「細雪」は、和楽器バンドの王道感あるナンバーが、オーケストレーションに彩られ進化を感じました。詞曲を手がけられた町屋さん、この曲はいかにしてこのスタイルに?

町屋:ポイントとしては、王道であることですね。いままで培ってきた和楽器バンドらしさを、どれだけ精度を高めて研ぎ澄ましていけるかへの追及ですね。「細雪」は構成も、メロとサビが中心でDメロが一瞬入ってきて展開するっていう流れになってるんですけど、和楽器バンドらしさをドラマティックに展開することにこだわりました。和楽器バンドらしさを美しい日本語でどう表現していくか、ですね。それでも美しい日本語や、古い言葉づかいってとっつきづらい部分もあるので。Dメロで“もう一度巡り合えたら 伝えたいことばかりだよ”とか。一瞬、話し言葉を入れるなど工夫しています。そのあとの“海を越えて見えた景色を”っていうのは、実は2枚目のアルバム『八奏絵巻』の「暁ノ糸」のサビと同じメロディをなぞっているんです。

ゆう子:和楽器バンドのライブでのアンコール時に、お客さんが自然に歌い出す定番曲なんです。

町屋:そういうちょっとトリッキーなことも取り入れつつ。

ゆう子:実はこの曲、出来たのはけっこう前で温めてました。メンバー一同「良い曲だ!」ってなっていて。タイミングを見計らってたんです。
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