2017年6月6日 更新

空前絶後、超絶怒涛のキラーチューン。J-POP、ダンス・ミュージック、アニソン。すべてのポップスの生みの親!? 「Get Wild」が与えた衝撃とは?【前編】

日本のポップシーンにダンス・ミュージックの要素を入れ込み、後にTKムーブメントとしてレイヴシーンを席巻する引き金をとなり、現在のJ-POPやEDMブームの源流となっただけではなく、アニメソングに至るまで色濃くその影響を残すなど、大きなインパクトを日本の音楽シーンに与えたレジェンダリー・アンセム「Get Wild」。 その偉大さ、影響力の大きさを「Get Wild」に関係する3人のキーマンによるクロストークで語り尽くす。

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2017年、小室哲哉率いる伝説の音楽ユニットTM NETWORKの代表曲「Get Wild」が30周年を迎えました。そこで、36曲も「Get Wild」が収録された“ワイルドすぎる4枚組CDアルバム”として話題となったコンピレーション盤『GET WILD SONG MAFIA』がリリースされました。あなたはもう“ゲワイ”されましたか?

趣味嗜好が細分化の時代、スタンダードなヒット曲として、同一曲のヴァージョン違いが36曲も収録されたアルバムが話題となるなんて、なかなか稀有な事件だと思います。

そもそも、「Get Wild」という楽曲は、四つ打ちダンス・ミュージックのテイストをJ-POPに取り入れた元祖的ナンバーであり、アニメ『シティーハンター』でのタイアップのあり方は、アーティストが手がけるアニソン文化の先駆けとなった事実をご存知でしょうか? 歌い継がれ話題となる理由には様々な要因がありました。

日本のポップミュージック・シーンに多大なる影響を与えたレジェンダリーな楽曲「Get Wild」の秘密を、TM NETWORKのサウンド面に詳しい3名の音のプロフェッショナルを招いて放談していただきました。その偉大さ、影響力の大きさについて前編 後編で迫ります——。後編では、「Get Wild」を聴くのにオススメのイヤホン、ヘッドフォンをプロの視点から紹介していますので、ご期待下さい!
岩佐俊秀(TK専属マニピュレーター / プログラマー ...

岩佐俊秀(TK専属マニピュレーター / プログラマー / エンジニア)

——自己紹介からお願いします。まずは、TKファンにはおなじみのいわぽんこと岩佐さんから。

岩佐:小室哲哉のマニピュレーターを担当しています。小室さんとの出会いは、僕が18歳だった1993年からですね。

——最初に「Get Wild」作品に関わったのは?

岩佐:TMNが1994年に終了して、復活する第一弾が「GET WILD DECADE RUN」でした。それからはずっと関わっています。
山崎麗我(マスタリング・エンジニア / form TH...

山崎麗我(マスタリング・エンジニア / form THE MASTER)

——次は『GET WILD SONG MAFIA』4枚目CD(カバー集&リミックス集)のマスタリングを担当された山崎さん。ちなみに、マスタリング・エンジニアとはどんなことをされるお仕事なのですか?

山崎:音楽がリスナーの手元に届く最終段階で、楽曲の音質を整えながらブラッシュアップして、100%のクオリティーを引き出すための仕事です。

——山崎さんはTK体験はどんなきっかけからでした?

山崎:僕がはじめて音楽を聴いてワッと思ったのがまさに「Get Wild」だったんですよ。それが小学校の頃で。それまでまったく音楽に興味がありませんでした。兄がTM NETWORKを好きできっかけとなりました。はじめて「Get Wild」を聴いた時のインパクトがでかすぎて。

——インパクトというと?

山崎:サウンドの奥深さに惹かれるものがあったのと、アニメ『シティーハンター』を観て、楽曲と物語の相性の素晴らしさにのめり込んでいった感じですね。
佐藤純之介(音楽プロデューサー / ランティス所属)

佐藤純之介(音楽プロデューサー / ランティス所属)

——雑誌『Sound&Recording』(リットーミュージック)での「Get Wild」特集(袋とじ付きw)で、36曲をすべてを見事に解説された佐藤さんは?

佐藤:はい(苦笑)。僕はTK関連スタッフではないのですが、今回はFANKS(TM NETWORKファンの意)としての参加です。アニメソングに特化したレコード会社、ランティスに所属して音楽プロデューサーをしています。

——最初のゲワイ体験は?

佐藤:アニメ『シティーハンター』を観て感動というか衝撃が走りました。その後、影響として大きかったのは、1987年に行った武道館コンサート『FANKS the LIVE 1 FANKS CRY-MAX』のビデオ映像で「Get Wild」が1曲目だったんですけど、あの曲がこんな風にアレンジされて演奏されているということが衝撃だったんです。音楽が自由であることの証明ですよね。オーディエンスを驚かせるためにライブ用にアレンジされていたんです。表現の仕方がすごいクールで、ロックな躍動感というか、CDヴァージョンの方がクールじゃないですか? それがすごくワイルドに変身していたんです。生まれ変わっているというのが衝撃的でしたね。

——TM NETWORKの特徴である、ライブごとに楽曲のアレンジを変えていくというスタートが、まさに武道館公演だったと思います。衝撃でしたね。ちなみに「Get Wild」、大事なポイントとして、アニメ『シティーハンター』での起用のされ方が素晴らしく、いまに通じるアーティストが手がけるアニソン元祖ナンバーという見方もありますが、いかがですか?

佐藤:小室さんが生み出す音楽って映像的なんですよ。映像を彷彿とさせる音楽としてのテクニカルな演出ですが、構成と転調が画期的なんです。後半に転調することで、ひと段階画面が明るくなったようなイメージを与えてくれるんですね。発明だと思います。さらに、循環コードを使われていたり、イントロが2回あるとか、インパクトあるサビのフレーズをあえて最初に置くというのは、その後のアニソンのテンプレートとして引き継いでいると思います。それは、パクっているとかそんなレベルの話ではなく、アニソンの世界に根付いているスタンダードなフォーマットとなった手法ですね。いや、ほんとすごいことなんですよ。

——「Get Wild」は、アニメ『シティーハンター』の劇中エンディングからイントロがはじまって、モノローグ的に感動のスイッチの役割を果たす演出となっています。あれって凄いことなんですか? 

佐藤:アニメの構造として、オープニングとエンディングで楽曲を流すには89秒という制限があるんです。本編が前半11分、CMを挟んで、後半11分と決まっているんです。アニメによっては、本編からエンディングにつながっているとは限らないんですよ。本編が終わってCMが入ってからエンディングというのもあったりするので。「Get Wild」のように、演出以前のアニメのプロデュース段階から、劇中後半からエンディング・テーマが流れるという演出は、今もなお画期的な発明だと思いますね。
岩佐:「Get Wild」前って、あのスタイルって無かったですよね? あ、『機動戦士ガンダム』の最終回とかではあったかもしれないけど『シティーハンター』では毎回のルーティーンでしたからね。だからこそ、印象が強く残っているのだと思います。

佐藤:毎回あったりなかったりという局の都合で不確定だったものを、決められた演出として確定させた上で、インパクトあるイントロもあえて考えて作られたという手法はさすがだと思いますね。「Get Wild」のイントロを実現するためにたくさんの人が動いていたんだろうなというのがわかります。僕は誰にも頼まれていないのに、89秒でアニメのエンディング曲を納品するときに意識してイントロを付けて納品するときもあります(苦笑)。

——それこそアニメ『シティーハンター』って海外でも人気のアニメなので、アジアや欧米、特にフランスでも「Get Wild」を知っているリスナーやアーティストって多いらしいですね。

岩佐:ほんと多いんですよ。フランスではその手のチャートに入ったりしてましたし、メキシコやカナダのクラブでかかってたとか、いろんなお話を聞きます。それこそ、TM NETWORKのこと知らずに一人歩きしている楽曲なんですね。でも、それが1987年に作られた曲だってことを考えると、時代を超えていく感じが面白いですよね。TM NETWORKというユニット名は、タイムマシン・ネットワークの略なのですが、まさにタイムマシンで時間軸を超えていっているかのようです。

——実は「Get Wild」は、世界中で独り歩きしている楽曲なのですね。そういえば「Get Wild」ってイントロに“カーン”っていう音がインパクトを持って入ってるじゃないですか? マニアックな話ですが、直前にリリースされたTM NETWORKの人気曲「Self Control(方舟に曳かれて)」にも、ど頭にそんな音が入っているんですね。

岩佐:その頃は、小室さんは当時は感覚的にやってたんでしょうね。わからないですけどね。でも、そのあと90年代に大ブレイクしたミリオンヒットのトレンディ・ドラマだったり、篠原涼子 with t.komuroのヒット曲「恋しさとせつなさと心強さと」もそうでしたけど、掴みの第一歩が大事というのはあったんですよね。それは、藤井フミヤさんの「TRUE LOVE」もそうでした。テレビというメディアで興味を引く手法というアイディアだったのかもしれませんね。

——あ、それこそ90年代に大ヒットしたドラマ『東京ラブストーリー』の主題歌を小田和正さんが手がけられていましたが、やっぱり曲頭の音って印象的でしたね。そんな印象的な使い方って「Get Wild」からはじまったような気もします。それは、劇中エンディングから楽曲が挿入されるという制約があってこそのアイディアであったかもしれませんね。

岩佐:ちょっとわかりませんけどね(苦笑)。でも、そうかもしれないね。今度スタジオで小室さんに聞いておきます(笑)。

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取材・テキスト:ふくりゅう(FANKS)
PHOTO:川田洋司

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mu-mo station編集部 | 1,081 view
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5歳のあらた君&10歳のみー君の2人の息子に囲まれて、音楽業界の荒波を駆け抜ける男・ふくりゅう(埼玉県在住)。 “音楽コンシェルジュ”を名乗る彼が今週気になるあの話題を、愛する息子たちと一緒に切り取ります! 巻末の担当編集による編集後記まで楽しんでくださいね♪ ★今週の気になりワード★「TM NETWORK」「GET WILD」「スタカレー」「漫々亭」「GENERAL STORE RAILYARD」「鉄道」

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