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2017年9月11日 更新

空前絶後、超絶怒涛のキラーチューン。J-POP、ダンス・ミュージック、アニソン。すべてのポップスの生みの親!? 「Get Wild」が与えた衝撃とは?【後編】

現在のJ-POPやEDMブームの源流となっただけではなく、アニメソングに至るまで色濃くその影響を残すなど、大きなインパクトを日本の音楽シーンに与えたレジェンダリー・アンセム「Get Wild」。 その偉大さ、影響力の大きさを「Get Wild」に関係する3人のキーマンによるクロストークで語り尽くすだけでなく、「Get Wild」をより楽しめるイヤホン&ヘッドフォンもご紹介!

2017年、小室哲哉率いる伝説の音楽ユニットTM NETWORKの代表曲「Get Wild」が30周年を迎えました。そこで、36曲も「Get Wild」が収録された“ワイルドすぎる4枚組CDアルバム”として話題となったコンピレーション盤『GET WILD SONG MAFIA』がリリースされました。あなたはもう“ゲワイ”されましたか?

そこで、日本のポップミュージック・シーンに多大なる影響を与えたレジェンダリーな楽曲「Get Wild」の秘密を、TM NETWORKのサウンドに詳しい3名の音のプロフェッショナルに放談していただきました。

先週公開した“前半”では、アニメ『シティーハンター』でのタイアップや音作りのあり方は、アーティストが手がけるアニソン文化の先駆けとなったということをテーマにトークが展開されました。後半では、「Get Wild」という楽曲は、四つ打ちダンス・ミュージックのテイストをJ-POPに取り入れた元祖的ナンバーであるというポイントに踏み込みます。

その結果、「Get Wild」という楽曲は、実はアニソン文化にもダンスミュージック・カルチャーにも、そしてJ-POPの元祖的存在であるという、影響力の大きさがみえてきましたーー。
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——「Get Wild」って、リズムに耳をすませると、スネアドラムが入ってない四つ打ちビートというポイントが改めて注目されています。1987年といえばBOØWYが大ブレイクしてバンドブーム直前期で、ビートの効いたロックが流行っていた時代なので思い切ってますよね。

山崎:当時流行っていたユーロビート、いわゆるヨーロッパのクラブシーンからの影響ですよね。海外のサウンドを輸入のようにアレンジしたいという意向が小室さんの中であったんでしょうね。それを、エレクトロ・ポップを打ち出していたTM NETWORKとしてのオリジナリティーをキープしながら、メインストリームでのヒットにも通じる作品に仕上げたことに驚かされます。今でこそ、四つ打ちビートってダンスミュージックの基本として一般的にも知られるようになりましたけど、30年前の「Get Wild」でチャレンジされていたのがすごいですよね。

——スネアの音って、時代の音があらわれやすいサウンドだと言われてますが、「Get Wild」ではあえてスネアを取り入れなかったからこそ、普遍的というか時代感が古くならなかったと言われています。

岩佐:その通りだと思います。昨日も小室さんとスタジオで新曲を作っていて、スネアを入れてたんですけど今日LINEのメッセージで、小室さんから“ナシ”って指示がきて。スネアの音で時代感やノリが決まっちゃうところがあるんですよね。隙間がなくなるというか。それがすべてではないんですけど、外すことで生まれるグルーヴ感が存在することは確かですね。

佐藤:レコーディングに参加した窪田晴男さんによる空間を埋めていくエモーショナルなギターも素晴らしいんですけど、ドラマーの山木秀夫さんが歌の隙間にタムで作るリズムのピークがまた素晴らしいんですよ。

岩佐:あれはね、お祭り的な感じだと思うんだよな。お囃子じゃないけど、合いの手で。
——なるほど。イントロの長いライブのアレンジにもつながっていきますね。思えば、後に1990年のTMN時代「Get Wild」がハードロック・アレンジになったこともありました。

岩佐:カッコいいよね。あれをいきなりやっちゃっても受け入れられるFANKS(TMファンの意)の懐の広さがまたすごいよね。

——TM NETWORKからTMNへのリニューアルという言葉によって、変化を肯定してみせるという。そもそも、リニューアルという言葉はこの時に初めて知りました。

佐藤:テクノ好きな僕は、ハードロックな「Get Wild」を受け入れるまで10年かかりました(苦笑)。1989年に小室さんのソロアルバム『Digitalian is eating breakfast』 を聴いて“シンセ、カッコいい最高!”って思って、“TMの『DRESS』は洋楽っぽくて最高!”ってハマってたのに、初めて観に行った『RHYTHM RED』ツアーでの大阪城ホールで“えっ、ハードロック? シンセは?”って(笑)。いや、ハードロックなアレンジの「Get Wild (“RHYTHM RED TMN TOUR” Version)」は、今でこそベスト5位に入る「Get Wild」ではあるんですけど、当時は衝撃が大きすぎました(苦笑)。
——ははは(笑)。皆さんの中での最高の「Get Wild」はどのバージョンでしたか?

岩佐:これ言ったら身もふたもないけど、オリジナルかな。やっぱりオリジナルが最強ですよ。次は「GET WILD ’89」。そのほかでいえば、「GET WILD (2017 TK REMIX)」か「Get Wild 2015 -HUGE DATA-」。ダブステップ感取り入れた時のもよかったですよね。
山崎:ほんとにオリジナルでしょうね、ダントツで。それが僕の今の音楽人生を作ってくれた土台ですから。「Get Wild」ってすごいストーリー性がある曲だと思うんですよ。哀愁あるサビのフレーズを引用したイントロからはじまって、転調して盛り上がって、でもアレンジは細部にこだわられていてクールな面もあったり。仕事に活かしている基準となる1曲ですね。

佐藤:もちろんオリジナルもそうなんですけど。「Get Wild」の音源が欲しくて買った最初のCDが1989年にリリースしたリプロダクション盤『DRESS』だったんですよ。まだリプロダクションとかリミックスがよくわかってなかった頃ですね。「Get Wild」のつもりだったのに、聴いたら「GET WILD ’89」という全然違うヴァージョンが入っていて、衝撃でした。でも、そこでハマったんですね。リミックスやリプロダクションという手法があることも初めて知りました。ナイル・ロジャース含め、洋楽アーティストが洋楽の音を邦楽で鳴らしていたという衝撃ですよ。当時、中学生でしたけど、子どもながらに音が良いっていうのを感じたんですよ。それがきっかけで洋楽を聴きはじめるようになって、ジャネット・ジャクソンとか、マイケル・ジャクソンを知るんですね。今までドメスティック(邦楽)な音楽しか聞いていなかったところから、世界の音楽を聴くきっかけを作ってもらったのが「GET WILD ’89」だったんです。すごく思い入れがありますね。

——それこそ「GET WILD ’89」をリミックスしたのがPWLのチーフエンジニアのピート・ハモンドという。カイリー・ミノーグを世界的スターに育て上げた、ユーロビートで世界制覇したストック・エイトキン・ウォーターマンのレーベル、PWLの存在って小室さんが受けた影響ってものすごい大きそうですね。
岩佐:ヒットを量産するプロデューサー・チーム、ヒットファクトリーという考え方が、trfの結成や、後の小室ブームにつながっていきますね。

佐藤:TM NETWORKだと、「GET WILD ’89」からの影響で1989年のヒット曲「DIVE INTO YOUR BODY」は生み出されてますよね。洋楽サウンドを、完全オリジナルとして仕上げられた曲ですね。

山崎:ということは、90年代にJ-POPの歴史を変えた、現在に通じるTKソングの盛り上がりは、「Get Wild」から「GET WILD ’89」へのチャレンジを経由して、脈々と受け継がれているんですね。

佐藤:それこそ、現代のアニソンは大げさではなく、ほぼTMの影響じゃないかって思います。テンポの速い感じ、展開の多い感じ、シンセを使う感じ。アニメのオープニングの1分半での表現って、テンポを早くして、決めを多くして、転調を多くしてドラマを作るっていう手法なんです。それってすべて80年代に小室さんがやっていたことなんですよ。あと、それこそハードロックなアレンジの「Get Wild (“RHYTHM RED TMN TOUR” Version)」は、リズムが2バスだったり、実はあのハードロックっぽいアレンジの血筋は、今のハードロック系のアニソンに受け継がれているんです。言ってしまえば、本物のハードロックではないんですよね。ハードロックにシンセを足しているTMっぽい感覚。シンセベースはaccessの浅倉大介さんが弾いていたというね。今のアニソンで売れている作家のルーツを辿っていくと、結果90%くらいのセンスがTM NETWORKにたどり着くと思っています。そもそも、コンセプト・アルバムとなった『CAROL 〜A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991〜』とか本当にわかりやすんですけど、TMのストーリーテリングされたサウンドって、アニメーション向きなんですね。

山崎:曲の構成の成り立ちとか転調の仕方など、最近のクリエイターは、みんな通ってきている感じが確かにありますね。転調でストーリーを作るドラマティックな手法って、それまでなかったと思うんですよ。マイナーからいきなりメジャーに転調するとか、サビに入って、あ、6度も変わるんだとか。あの当時、シンセを要塞と呼ばれるほどに山ほど並べる魅せかたと、打ち込みサウンドによってJ-POPシーンを湧かせたユニットってすごいですよね。アレンジまで自分たちで行うトラックメーカーがいて、セルフプロデュースが出来るユニットの元祖だと思います。今の日本のJ-POPの土台は、あの時に生まれたんだと思いますね。

岩佐:そんな意味では、僕らTK本体チームは、今回の「Get Wild」の再熱企画からは逆に大きな影響を受けていて。この盛り上がりを元に、また小室さんの新たな「Get Wild」が生まれそうなんですよね。クラブツアーではその新バージョンを先行してかけていたり。「Get Wild 2018」も間違いなくあるなと。楽しみにしていてほしいです。

——そういえば、「Get Wild」って、なんであそこまでライブごとにアレンジを変えるようになったんですかね?

岩佐:いい意味で小室さんが飽きっぽいからなんでしょうね。同じことをやりたくないという。あと、驚かせたいという気持ち。それがTMのいいところだったりするから。そのままやってもつまらないっていうね。そもそも、オリジナル・バージョンの「Get Wild」をライブでやったことないんじゃないですかね? また新たな「Get Wild」を楽しみにしていてほしいですね。

音のプロが選ぶ、「Get Wild」をより楽しめるヘッドフォン&イヤフォンとは!?

岩佐俊秀(TK専属マニピュレーター / プログラマー / エンジニア)

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■SONY MDR-7506
レコーディングスタジオで、定番ヘッドフォンです。
スタジオ仕事を初めてから、ずーとこのヘッドフォンで音作りをしてます。
小室さんと作業を進める上で、共通言語になってるヘッドフォンです。

■Beats Solo3 Wireless
小室さんとの一緒にミックス確認で使っているのが、このヘッドフォンです。
テンションが上がる出音です。
Beats by Dr. Dreは、世界的に若者へのシェアが高いからと言うのが理由です。
ワイヤレスって言うのも、ケーブルが煩わしくなくて最高です。
GET WILD TK REMIXのミックス確認作業も、このヘッドフォンで行いました。

■Double Zero 001
最近のお気に入りで、こちらもテンションが上がる出音です。
デザインも、素晴らしいです。
Zeddプロデュースだけあって、ダンスミュージック聞くのに特化しております。
これで、GET WILD (SICK INDIVIDUALS Remix)を聞くとアガリます。
この楽曲には、この専用ヘッドフォンって言う、
1アーティストに、1ヘッドフォンメーカーって言う時代が来るような気がしております。

佐藤純之介(音楽プロデューサー / ランティス所属)

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