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2018年12月5日 更新

一つ一つを大事にしながら進んでいきたい。番匠谷紗衣デビューシングル「ここにある光」インタビュー

大阪出身、19才のシンガーソングライター、番匠谷紗衣(ばんじょうや さえ)がシングル「ここにある光」(テレビ朝日系 木曜ミステリー「科捜研の女」主題歌)でメジャーデビューを果たす。中学生のときから路上ライブを行い、切実なメッセージを放つ楽曲、色彩豊かな感情を伝えるボーカルによって徐々に注目を集めてきた彼女。「ずっと音楽に救われてきました」という彼女にこれまでの音楽キャリア、メジャーデビューに向けた思いなどについて聞いた。巻末の読者プレゼントもお見逃しなく♪

TEXT:森朋之

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――番匠谷さんは中学生のときから路上ライブを行っていたそうですね。小さいときから音楽に興味があったんですか?

はい。歌手になろうと思ったのは、小学生2年生のときなんですよ。いちばん最初のきっかけは、親戚の結婚式で歌ったこと。「人前で自分を表現するのって、こんなに楽しいんだ」と思って、歌が大好きになったんですよね。その頃からノートに歌詞みたいなものを書いていたし、毎週のようにカラオケに行って、好きな歌を歌って。冷蔵庫に貼ってあったボイスメモに自分で作った短い歌を録音したり(笑)。

――楽しそう(笑)。

その後、おばあちゃんにキーボードを買ってもらって。ゲームとかは買ってもらえなかったので、本当にひたすら弾いてましたね。といっても「猫ふんじゃった」を高速で弾くとか、そんな感じだったんですけど(笑)。でも、中学時代に音楽に対する考え方が大きく変わってきたんです。家庭環境のことだったり、周囲に馴染めないことでいろいろ悩むようになって。ずっと目立ちたがりで明るい感じだったから、悩んでいる自分を隠したいと思っていたんです。人に対して自分を作るようになって、悩んでいる自分との差がどんどん大きくなって。その差を埋められなくなって、学校にもあまり行けなくなってしまって…。そのときに支えてくれたのが、音楽だったんですよね。ずっと音楽に救われてきたなって、いまも思ってますね。

――その頃はどんな音楽を聴いていたんですか?

尾崎豊さん、槇原敬之さん、清水翔太さんとか。女性アーティストだと、Superflyさん、福原美穂さんをよく聴いていました。その頃に出会ったアーティストや楽曲は本当に特別で、「自分の心に寄り添ってくれた」という感覚があって。「そういう歌を歌える人になりたい」と思ったのも、歌手を目指したきっかけですね。

――その気持ちがオリジナル曲を作ることにつながった?

そうですね。初めて作詞作曲したのは14才のときなんですけど、当時、私と似たような環境の友達がいて。気持ちがすごくわかるからこそ、なかなか言葉をかけてあげられなかったんですよね。ずっと「そやな」って話を聞いているだけだったし、「もっと元気づけられるような言葉を言ってあげたい」ってモヤモヤしていたら、寝る前にふっと歌詞とメロディが浮かんできて。それが「君へ」という曲につながったんです。その子を思って書いたことはいまだに伝えてないんですが、Youtubeで曲を聴いてくれたみたいで、「あの曲に元気をもらえた。またがんばる」って言ってくれて。その言葉が本当に嬉しかったんですよ。うわべだけじゃなくて、ちゃんと伝わったんだなという手応えがあったというか。私は自分の気持ちを話すのが上手じゃないし、「言葉よりも歌にしたほうが深いところまで伝わる」と気付いたんですよね、そのとき。そのことがきっかけで、もっと曲を書きたいと思うようになりました。

――自分のことを歌うというより、誰かのために歌うことが原点?

そうかもしれないです。もちろん自分の気持ちを歌うこともありますけど、ひとりの人を意識して、誰かに向けて曲を作ることも多いので。「あの人にこういう言葉を伝えたかった」という気持ちが曲につながるというか。

――なるほど。中学生の頃から、プロになりたいという気持ちはあった?

はい。最初は根拠のない自信だけでやってんたんですけど(笑)、活動を続けるうちに「もっと上に行きたい、前に進みたい」「シンガーソングライターとして認められたい」という気持ちが強くなって。それで「ワンマンライブをやってみよう」と思ったんです。

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――2015年12月に大阪のumedaAKASOで行われた初ワンマンライブですね。

当時の自分にとってはすごく大きい会場だったんですよね。ワンマンを半年後にやると決めて、曲を増やして、ライブもやりまくって、なんとかワンマンを開催できて。そこで満足できるのかなと思ってたんですけど、ライブ中にもっと大きいステージで歌っているところが浮かんできたんですよ。もっと高いところを目指して進んでいかないと、応援してくれてる人、自分の歌を聴いてくれる人を裏切ることになるかもって。そこからですね、本気でプロになろうと思い始めたのは。

――では、メジャーデビューシングル「ここにある光」について聞かせてください。これはいつ頃書いた曲なんですか?

1年くらい前ですね。東京でひとり暮らしをはじめて、「新しい曲を提示してきたい」と思っていた時期だったんですけど、私にとっても大事なことが詰まっている曲だし、ドラマ(テレビ朝日系ドラマ「科捜研の女」)の主題歌に起用していただいて。この曲がデビュー曲になって良かったなって思います。

――上京して、番匠谷さん自身にも変化があった?

全然違いますね、大阪にいたときとは。「ここにある光」の1番の歌詞もそうなんですけど、東京に来たばかりの頃は寂しさ、孤独を感じることもできなくて、息苦しさのなかで心が固まっていて。時間が経つにつれて「そうやってがんばってる人はいっぱいいるんだな」と気付いたんですよね。自分と向き合いながら、「大事なことをなくさないように生きていこう」という決意につながって。

――番匠谷さん自身の心の移り変わりが、そのまま歌になっているんですね。曲が進むにつれて解放されていくメロディも印象的でした。

1年前は心をゆるめる術がわかってなかったんですよ。自分自身を見つめ直す中で、その方法をちょっとずつ見つけることができて。おこがしいですけど、「ここにある光」を聴いて、心をゆるめたり、気持ちをラクにしてくれたらなって思うんですよね。歌詞を書くときもレコーディングのときも、そのことはずっと意識していました。

――「ここにある光」の歌詞は高橋久美子さん(exチャトモンチー/現在は文筆家、作詞家として活動)、作曲はトオミヨウさん(石崎ひゅーい、土岐麻子などの作品を手がけているプロデューサー/キーボーディスト)との共作ですね。

そうなんです。高橋久美子さんとは上京したばかりの頃にじっくり語り合う時間を設けていただいて。作詞の技術面を学びたいと思っていたんですが、話をさせてもらうなかで「こういう表現をそすればいいのか」「私はこのことが伝えたかったんだ」というヒントがいっぱい見つかって。その日のうちに書き上げたのが「ここにある光」の原型だったんですよ。その後、ドラマの主題歌になることが決まって、ドラマの世界に寄り添えるように久美子さんに言葉の節回しを変えてもらって、素敵に仕上げていただきました。

――トオミヨウさんとはどんなやりとりがあったんですか?

「ここにある光」はもともと、ワンマンライブの最後に歌うようなイメージで作り始めたんです。ただ、ギターで表現するのが難しくて、トオミヨウさんにピアノで伴奏してもらったんですよ。そのことによってメロディも変わってきたし、私が想像していたものよりさらに良くなって。

――高橋さん、トオミヨウさんから得たものは、今後の曲作りにも活かせそうですね。

既にすごく活かせてます。もっと言えば、いままで出会ってきたすべての人たちからたくさんのものを受け取っているんですよね。私は忘れ物も多いし、「うわー! やってもうた!」ということもたくさんあるんですが(笑)、出会った人たちからかけてもらった言葉だったり、その人と話しているときの“感じ”はずっと覚えていて。それを思い出すことで、歌詞やメロディに繋がることも多いんですよ。たとえば「バイト先の店長さんと話してるときの感じを曲にしよう」とか(笑)。

番匠谷紗衣 - ここにある光 [Music Video] (short ver.) 【テレビ朝日系 木曜ミステリー「科捜研の女」主題歌】

――新しい出会いのたびに曲ができそう(笑)。シングルにはカバー2曲も収録されています。まず尾崎豊の「Forget-me-not」。彼の歌を初めて聴いたのは中学生の頃ですか?

そうですね。テレビで流れてきて、「すごくいい。新進気鋭のアーティストかな?」と思ったんですが(笑)、その後ちゃんと聴いてみて、「自分と同じような気持ちを歌っていたんだな」ってすごく好きになって。素晴らしい曲がたくさんあるんですが、「Forget-me-not」
は路上ライブでも何度も歌わせてもらって、すごく思い入れがあるんです。歌うたびに感動するし、いい空気が流れて。デビューシングルは自分の原点になると思うから、この曲を収録できたのはすごく嬉しいです。私より若い人たちはもしかしたら知らないかもしれないし、たくさんの人に届いたらいいなって。

――「Beautiful Dreamer」(Stephen Fosterカバー)も思い出のある曲なんですか?

はい。dynabookのウェブCMのオーディションを受けたことがきっかけで歌わせてもらったんですが、そのときのチームは私にとって大切な存在なんです。夢に向かって頑張ってる人の背中を押せる曲だと思うので、ぜひ聴いてほしいですね。ボーカルを多重録音することで温もりを表現できたと思うし、神々しさも感じられて。光が差し込んでくるような曲をシングルの最後に聴いてもらえるのもいいなって。レコーディングは大変でしたけどね(笑)。コーラスの録音はほとんどやったことがなかったし、何本も重ねながら「これ、最後はどうなるんだろう?」と思ってました。完成したときは本当に感動しましたね。

sound with dynabook - beautiful dreamer : sae banjoya

――原点を感じさせると同時に、未来に対する光もしっかり表現されていて。デビュー作にふさわしいシングルになりましたね。

うれしいです。以前は「メジャーデビューは通過点」と思っていたんですけど、実際にデビューが決まってからは、いままで関わってくれた人たち、協力してくれてるみなさんのことを思い出して、涙が出て来ることがあるんですよ。感謝の気持ちがすごくあるし、状況に流されず、しっかり活動していきたいなって。こうやって取材してもらえるのもありがたいし、読んでくれている方々に届いてほしいなって思うんですよね。一つ一つを大事にしながら進んでいきたいです。

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ツアー情報

レコ発弾き語り東名阪ツアー「未完全でも」

2018年 12月 6日 (木)【大阪】 阿倍野ROCKTOWN 18:30/19:00
2018年 12月 7日 (金)【名古屋】 名古屋sunset BLUE 18:30/19:00
2018年 12月 16日 (日)【東京】 渋谷La.mama 17:00/17:30
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